土壌改良資材(読み)どじょうかいりょうしざい

日本大百科全書(ニッポニカ) 「土壌改良資材」の意味・わかりやすい解説

土壌改良資材
どじょうかいりょうしざい

作物生育をよくし生産力を高めるために土壌の改良を目的に施される資材のことで、地力増進法(昭和59年法律第34号)では肥料以外で土壌に施して物理性、生物性の改善に効果のあるものとしている。土壌pHの上昇、土壌リン酸固定力の抑制に用いられる石灰質肥料や無機質リン酸肥料は、これまでは土壌改良資材とよばれていたが、地力増進法が制定されてからは定義が明確となり、「土作り肥料」とよばれる。土壌改良資材として堆厩肥(たいきゅうひ)、藁(わら)、山土、川床湖沼の堆積土など農家が自給できるものもあるが、地力増進法に基づいて指定されている土壌改良材には、その組成によりバーク堆肥、腐植酸質資材等の有機系、ポリエチレンイミン系資材、ポリビニル系資材等の合成高分子系、パーライトゼオライト等の無機質系、VA菌根菌資材等の微生物資材がある。2011年(平成23)の東日本大震災の際に発生した福島第一原子力発電所事故に伴い、放射性物質が放出され広範囲の土壌汚染が生じたが、とくに問題とされた放射性セシウムによる農地土壌の汚染拡大を防止するため、土壌改良資材の暫定許容値1キログラム当り400ベクレルが新たに定められた。

[小山雄生]

『肥料協会新聞部編『肥料年鑑』各年版(肥料協会)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「土壌改良資材」の意味・わかりやすい解説

土壌改良資材
どじょうかいりょうしざい

土壌本来の物理的,化学的ならびに微生物的性質を高める目的で土壌に施用する物料をいう。これには (1) 石灰,ケイ酸質資材 (酸性矯正) ,(2) リン酸資材,(3) 含鉄資材,(4) 天然有機物 (堆厩肥,緑肥など) ,(5) 人工土壌改良剤 (クリリウムなど) があり,普通は (4) 以外をさす。

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世界大百科事典(旧版)内の土壌改良資材の言及

【土壌改良】より

…物理的条件の改良とは,土壌の団粒化による透水性・通気性の改善,漏水田の保水性の向上など,化学的条件の改良とは,土壌の酸性矯正,特殊成分の補充,有害物質の不活性化や除去など,生物的条件の改良とは土壌生物の活動の制御などである。土壌改良の目的で投入される各種資材を〈土壌改良資材〉といい,堆厩肥(たいきゆうひ),わらや客土材料としての各種土壌など農家が自給できるもの,有機性廃棄物である汚泥,石灰質肥料,溶成リン肥などの土壌改良効果を示す肥料,ベントナイトなどがある。 日本の全耕地面積の約40%は改良を必要とする不良土である。…

※「土壌改良資材」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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