圧覚(読み)アッカク

デジタル大辞泉 「圧覚」の意味・読み・例文・類語

あっ‐かく【圧覚】

皮膚感覚一つで、触点外部からやや強く刺激されると感じ圧迫感。

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精選版 日本国語大辞典 「圧覚」の意味・読み・例文・類語

あっ‐かく【圧覚】

〘名〙 身体の諸器官の表面が圧迫を受けた時に起こる感覚全身皮膚粘膜の表面に散在する圧点で感じられる。皮膚を強く圧迫したときに深部に起こるものをさし、皮膚や粘膜の表層に起こるものは触覚といって区別することもある。
※世之助の話(1918)〈芥川龍之介〉中「私の視覚聴覚嗅覚、触覚、温覚、圧覚━どれ一つとして、この女房が満足させてくれなかったものはない」

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「圧覚」の意味・わかりやすい解説

圧覚
あっかく

生体の体表あるいは深部に加えられた圧刺激によっておこる感覚をいう。触覚や振動感覚と同一次元の動き受容感覚であって、機械的刺激によって生体組織に変形やゆがみなど、いわゆる組織に動きが生ずるときにおこる感覚のうち、順応が遅いものである。

 圧覚を感ずる場所は体表上に圧点として点状に分布しており、圧覚の受容器は、近年ではいろいろな形状をした神経終末と考えられている。圧刺激情報は末梢(まっしょう)ではAβ繊維によって伝えられる。しかし、そのほかにAδ繊維やC繊維によっても伝えられるという学者もいる。脊髄(せきずい)では前外側索と後索を上行し(ただし、前外側索のうち腹側脊髄視床路を上行するという説をとる学者もいる)、視床の特殊感覚中継核を経て大脳皮質体性感覚野(中心後回)に達している。前外側索を上行する圧覚情報は大ざっぱな情報であるのに対し、後索を上行する圧覚情報は圧刺激に関する詳細な情報、すなわち、圧刺激の加えられた部位と、その広がり、あるいは圧刺激の強さなどを伝えるとされている。

[市岡正道]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「圧覚」の意味・わかりやすい解説

圧覚
あっかく
pressure sensation

皮膚面に変形やひずみが加えられたときに生じる感覚。身体の表面に定位され,重々しく,固く押しつけられるような感じを特徴とする。皮膚や粘膜の表面で起る感覚を触覚,その深部に起るものを圧覚として両者を区別することもあるが,両者を一括して広義の触覚と呼ぶことも少くない。

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世界大百科事典(旧版)内の圧覚の言及

【触覚】より

…19世紀に触,温,冷,痛覚に対応する感覚点sense spotが発見され,以来触覚が温,冷,痛の諸感覚からより明確に分離されるようになった。
[触覚と刺激]
 変形が1回かぎりであればそれは軽い一過性の接触の感じをおこすが,これがある頻度(10回/秒以上)で繰り返されると振動感覚vibrationを生じ,変形が一定時間以上持続するときには圧覚pressureを生じる。接触の感じは,局所的な圧迫によって皮膚がへこんだときおこるほか,たとえば皮膚に接着した物体を介して皮膚が軽くひっぱり上げられても生じる。…

※「圧覚」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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