地価税(読み)ちかぜい

精選版 日本国語大辞典 「地価税」の意味・読み・例文・類語

ちか‐ぜい【地価税】

〘名〙 平成四年(一九九二)一月に施行された地価税法に基づいて、個人法人の所有する土地に課される国税。異常な地価上昇を抑える目的を持つ。

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デジタル大辞泉 「地価税」の意味・読み・例文・類語

ちか‐ぜい【地価税】

土地の保有コストを引き上げて土地投機を抑制し、土地の有効利用を図るために設けられた国税。土地の相続税評価額一定税率をかけて課税するが、農地・公共的用地や基準面積内の住宅用地は原則として非課税。平成4年(1992)施行。バブル経済の崩壊による地価の下落と経済の低迷を理由に、平成10年度(1998)以降は課税を停止。→路線価

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「地価税」の意味・わかりやすい解説

地価税
ちかぜい

1992年(平成4)1月に導入された国税の一つ。経常的資産税の性格を有し、各種資産のなかでも土地等のみを対象として、毎年度その価額比例税率で課税する税である。地価の異常な上昇の抑制をはじめとした特定政策目的達成の手段の性格も強い。

 納税義務者は、国内にある土地および借地権等を有する個人および法人である。課税時期である1月1日(午前零時)において有する土地等の価額の合計額から基礎控除額を控除した残額課税標準として、1000分の1.5の税率を乗じて計算した額が地価税額となる(1996年度税制改正によって従来の0.3%から半減)。土地等のすべてが課税対象となるわけではなく、公共法人や公益法人等の有する土地等、自然・国土保全等、医療・社会福祉等などの一定の公益的な用途に供されている土地等、一定の条件の住宅の敷地、1平方メートル当りの評価額(更地価額)が3万円以下の土地は非課税とされる。住宅の敷地についての非課税対象は、1000平方メートル以下の部分に限り、自己が所有し居住している住宅や他人に貸し付けられている住宅の敷地である。

 課税対象とされる土地等についても基礎控除額として次の(1)と(2)のいずれか多いほうの金額を選択できる(97年から)。(1)定額控除 資本金等が10億円超の法人(保険会社を含む)に対しては5億円、資本金等が1億円超10億円以下の法人に対しては8億円、上記以外の法人および個人に対しては15億円か、(2)面積比例控除 1平方メートル当りの評価額(更地価額)が3万円を超える土地(非課税分を除く)の面積×3万円。

 なお1998年度税制改正で、景気対策の一環として当分の間地価税の適用を停止することになった。

[林 正寿]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「地価税」の意味・わかりやすい解説

地価税
ちかぜい
land value tax

新土地保有税ともいわれる。土地の保有に対して課される国税。土地に対する適正かつ公平な税負担の確保をはかりつつ,土地の資産としての有利性を縮減して土地投機を抑制し,遊休不動産の流動化をはかるため,1991年の税制改正で創設,1992年より施行された (地価税法=平成3年法律 69号) 。納税義務者は,国内にある土地および借地権などを有する個人または法人で,その年の1月1日の課税時期に所有する土地などが課税の対象となり,学校法人や宗教法人,病院や福祉施設など,一定の公益的な用途に供されている土地,1000m2以下の居住用の土地,1m2あたり3万円以下の土地などについては非課税とされる。地価税の申告・納付は,その年の 10月1日から 31日までに申告して地価税の額の2分の1を納付し,残りを翌年3月 31日までに納付する。税率を 0.3%と低くしたことや基礎控除を 10億円と高く設定したこと,さらに資産運用として購入するマンションなども非課税になるなど,当初からその実効性に疑問があった。その一方,産業界からはバブル崩壊後の企業収益の悪化と不動産市況の下落のなかで,地価税の廃止もしくは,経過措置として初年度 1992年度に適用した 0.2%の軽減率への引き下げなど,緩和を求める声が強まった。5年ごとの見直しが明記されていることと,特に地価の高い大都市部を基盤とする百貨店やホテルなどからの税負担軽減要望が強いことから,1996年度の税制改正で,税率が 0.15%に下げられた。

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百科事典マイペディア 「地価税」の意味・わかりやすい解説

地価税【ちかぜい】

土地の保有コストを引き上げることで資産としての土地の有利性を抑制し,土地の有効利用を促す目的で1991年創設された国税。法人あるいは個人が所有する土地と借地権などの相続税評価額(路線価)から基礎控除額を引いた額に0.15%(1996年3月改定による。それ以前は3%)の税率をかける。ただし1997年度以降,資本金1億円以下の法人と個人を除き,基礎控除額が縮小される。また,自ら所有し住んでいる土地,および貸家敷地のうち1000m2以下の部分は非課税。なお,近年は地下が下がり続けていること,景気対策を重視するということから,1998年度より地課税は課税停止されている。

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不動産用語辞典 「地価税」の解説

地価税

個人または法人が、1月1日現在で所有している国内の土地等に課税される国税を「地価税」といいます。
公共用地、公益用地、1,000平米までの居住用地等は非課税です。
(課税価格-基礎控除額)×税率=地価税額で算出されます。
課税価格とは、課税される土地等の合計額であり、路線価などを基準に算出されます。

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