地粉(読み)じのこ

精選版 日本国語大辞典 「地粉」の意味・読み・例文・類語

じ‐の‐こ ヂ‥【地粉】

〘名〙 漆塗下地に用いる土の粉末粘土などを粉末にして焼き、生漆(きうるし)に混ぜる。石川県輪島、長野県平沢では粘土を用い、東京では瓦を粉末にして用いる。下地に地粉を用いる塗漆法は古くからあり、奈良時代には「土漆」といわれた。
※風流魔(1898)〈幸田露伴〉四「やに型といふは、松脂と、砥の粉の類の地(ヂ)の粉(コ)といふものと、灰墨と、燈油とを合して成るものにて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の地粉の言及

【漆工芸】より

… 彩漆(いろうるし)用の顔料はおもにレーキ顔料で,ほかにチタンホワイト,本朱,べんがら,石黄,松煙などが用いられ,樟脳(カンフル)は溶剤として江戸時代から用いられた。素地の形を修補し堅牢にするために下地工程が重要であり,これには刻苧(こくそ)綿とか木粉,布着せ用麻布,地粉(じのこ)(土を焼いた粉),砥粉,こし紙,砥石,水ペーパー,漆研磨用炭(朴炭,椿炭,静岡炭,呂色炭),角粉などが使われる。
[塗漆と加飾]
 漆を塗ることを髹漆(きゆうしつ)といい,もっとも一般的な施工は次のとおりである。…

※「地粉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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