坊主小兵衛(読み)ぼうず・こへえ

朝日日本歴史人物事典 「坊主小兵衛」の解説

坊主小兵衛

生年生没年不詳
初期歌舞伎の道外形の歌舞伎役者月代左右深く剃り下げる糸鬢という髪型にしていたので,この名が付いた。この風貌が人々に親しまれたようで,のちにこれを真似て坊主段九郎,坊主百兵衛,小坊主などと名乗って糸鬢で道外六法をした役者もあったが,小兵衛ほどの人気を得ることはできなかった。また歌舞伎役者に似せた五月人形を作ることはこの人に始まり,その後多くの役者人形が作られたという。歌舞伎の評判記が出る以前の役者なので,芸風経歴など詳しいことはわかっていない。山東京伝が『近世奇跡考』に「小兵衛人形」の項目を立て,若干の考察を加えている。<参考文献>『歌舞伎評判記集成』1期

(北川博子)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「坊主小兵衛」の解説

坊主小兵衛 ぼうず-こへえ

?-? 江戸時代前期の歌舞伎役者。
道外方(どうけがた)の名人として江戸で活躍。糸鬢(いとびん)にした頭が坊主頭にみえたのでこの名がある。貞享(じょうきょう)5年(1688)中村座奴朝比奈大磯通」の供奴(ともやつこ)で人気をあつめた。その姿を五月節句の兜(かぶと)人形につくった小兵衛人形は役者人形のはじめという。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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