堯孝(読み)ぎょうこう

精選版 日本国語大辞典 「堯孝」の意味・読み・例文・類語

ぎょうこう ゲウカウ【堯孝】

室町中期の歌人頓阿(とんあ)曾孫。堯尋の子。法印・権大僧都となり、飛鳥井雅世が「新続古今集」を撰進した際の和歌所開闔。和歌、連歌にすぐれ、書道でも一派を開く。著書「堯孝法印集」「堯孝法印日記」「伊勢紀行」。明徳二~康正元年(一三九一‐一四五五

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「堯孝」の意味・わかりやすい解説

堯孝
ぎょうこう
(1391―1455)

室町前期の歌人。歌僧頓阿(とんあ)の孫堯尋(ぎょうじん)の子。通称は常光院。晩年は法印権大僧都(ごんのだいそうず)に叙せられ、広く公武僧の歌人と交わり、温雅で伝統的な歌風を主張した二条派の代表的な歌人として、冷泉(れいぜい)派の正徹(しょうてつ)と鋭く対立した。その間の事情は『東野州聞書(とうやしゅうききがき)』にもうかがえる。最後の勅撰(ちょくせん)集『新続古今集(しんしょくこきんしゅう)』の撰進に際しては、和歌所開闔(かいこう)(事務主事)となり、撰者飛鳥井雅世(あすかいまさよ)を助けた。和歌は『新続古今集』入集(にっしゅう)の7首のほか、年次(ねんじ)詠草の『慕風愚吟集(ぼふうぐぎんしゅう)』、『堯孝法印日記』がある。従来、家集とされた『堯孝法印集』は、他人の歌が混入している他撰集である。ほかに、歌学書『桂明抄(けいめいしょう)』や紀行『伊勢(いせ)紀行』『覧富士記(らんふじき)』などがある。

 ふけにけり置きそふ露も玉だれのこずのおほ野のよはの月影
[稲田利徳]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「堯孝」の意味・わかりやすい解説

堯孝
ぎょうこう

[生]元中8=明徳2(1391)
[没]享徳4(1455).7.5
室町時代の歌人。頓阿の孫堯尋の子。二条派の系統をひく歌を詠む。最後の勅撰集新続古今和歌集』撰集の際,和歌所開闔 (かいこう) となり,撰者飛鳥井雅世に協力した。歌集『堯孝百首』 (1434) ,『堯孝法印日記』 (46) ,『堯孝法印自歌合』,歌学書『桂明抄』 (48) や,『覧富士記』 (32) ,『伊勢紀行』 (33) などの紀行文がある。古今伝授主流を伝えた人物としても有名。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android