塩商(読み)えんしょう(英語表記)yan-shang; yen-shang

精選版 日本国語大辞典 「塩商」の意味・読み・例文・類語

えん‐しょう ‥シャウ【塩商】

〘名〙 塩を商う人。
菅家文草(900頃)三・宿舟中「語得塩商意、欲随釣叟声」 〔白居易新楽府・塩商婦〕

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デジタル大辞泉 「塩商」の意味・読み・例文・類語

えん‐しょう〔‐シヤウ〕【塩商】

中国で、専売制となっていた塩を販売していた商人。独占的地位を占めて経済界を支配した。→塩法

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩商」の意味・わかりやすい解説

塩商
えんしょう
yan-shang; yen-shang

中国における塩の販売業者。塩は利益の大きい商品で,周,漢の時代から,塩商のなかには膠鬲 (こうれき) ,東郭咸陽,猗頓 (いとん) らのように巨富を得た者,政界に進出した者が少くない。宋代,塩法確立とともに,国家に寄生して豪商となる者が多く,明・清時代はさらに著しく,清の中頃には 1000万両をもつ塩商があったという。塩商は,生産地で塩を買付ける場商,運搬する運商などに分化する一方,これらを一身に兼ねる者もあり,鉱山業,貿易業,典当業 (質屋) に投資する者もあった。なお,塩商のなかには学者文人,墨客を世話する者もあり,趙翼など塩商出身の大学者もあった。

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世界大百科事典(旧版)内の塩商の言及

【塩法】より

…開中法で塩引の量が増加しすぎ,その対策として特定の商人に塩引の割当制限を行ったことから,逆に塩販売の権利が窩本(わほん)と呼ばれる一種の株(塩引独占権)に変わっていった。明中期から清初への銀経済と好況の波にのり,揚州の塩商の活動はめざましく,文学,芸術のパトロンともなり,また塩商の中から学者,政治家を輩出することになる。 しかし,19世紀に入ると,中国経済の崩壊とともにこうした塩法も行き詰まり,1830年(道光10)両江総督の陶澍によって改革が試みられた。…

【山西商人】より

…彼らの活動は古い時代からはじまっていたと考えられるが,彼らが勃興したのは明代,とくに北辺の兵站を確保するために実施された開中法(塩法)と密接な関係があり,地の利をえて巨富を蓄積した。ついで明代中期に,開中法が運司納銀制へ切りかえられると,その有力者は両淮・両浙地方に移動し,有名な揚州塩商の主力となり,新安商人とともに,商業界を二分する大勢力となった。山西商人の主たる業務は塩商をはじめとして,穀物商,綿布商,絹織物商などにおよび,ほとんど全中国を活動範囲としたほか,一部は海外にまで進出した。…

【商人】より

…塩を例にとって説明すると,当初,製造から販売まで一貫して政府が行う方法(官鬻(かんいく)法)が採用された時期には関与できなかったが,販売を商人にゆだねる方法(通商法)が施行されると,商人は積極的にこれに参加した。主として宋代以後であるが,明代,とくに後半期から清代にかけては販売の独占権を与えられ,巨大な利益を入手する塩商があらわれた。有名な揚州塩商であるが,彼らは国家財政の一翼を担う存在であると同時に,財力を背景として文化の保護者ともなった。…

【新安商人】より

…新安は徽州の古名である。彼らの活動は古くから知られているが,明代中期からいっそう活発となり,開中法(塩法)の運司納銀制への転換を契機に,塩商としての地位を強化し,揚州塩商の中核となった。彼らの業務は,塩商のほか,穀物商,絹織物商,綿布商,茶商から,海外貿易,金融,手工業経営にまでおよび,数種の営業を兼ねる者もあったが,主たる活動は流通部門にあった。…

※「塩商」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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