壇法(読み)だんぽう

精選版 日本国語大辞典 「壇法」の意味・読み・例文・類語

だん‐ぽう ‥ポフ【壇法】

〘名〙 仏語
修法にあたり、三壇五壇など、道場に壇を設け、諸尊・諸天を安置して修するもの。三壇法、五壇法、九壇法、十三壇法などの別がある。
※三代実録‐貞観八年(866)一〇月二〇日「有一老嫗。避舎献地。壱演便在其中。聊作壇法、鏟平地中、得旧仏像
② 修法にあたり、壇を荘厳(しょうごん)する方法。大法のときは東密台密ともかわらないが、別行などのときは東密では壇は胎蔵に荘厳して金剛界法を修し、台密はこれと異なる。
十善法語(1775)三「密教事相の中には、種々の本尊、種々の壇法」

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改訂新版 世界大百科事典 「壇法」の意味・わかりやすい解説

壇法 (だんぼう)

密教の修法。特別の壇を築き,壇上に本尊を描き,結界をして密咒(みつじゆ)を誦して法を修すること。日本には奈良時代から雑密教典が請来されており,それに基づいて一尊法が盛んに修された。666年(天智5)の役小角(えんのおづぬ)(役行者)の孔雀明王法や,736年(天平8)の越の泰澄の十一面観音法とか,比曾山寺における求聞持(ぐもんじ)法などが有名で,《正倉院文書》には大弁才天女壇や随求壇などが見られる。壇法咒法の盛行は,反面で咒詛などの弊害を生み,785年(延暦4)諸国における諸尊,聖天,諸天などの私的壇法が禁止され,尋常の念誦壇法と看病加持の壇法のみが許された。空海以降,壇法は盛んになり,三壇法,五壇法,九壇法,十三壇法などが行われたことが,平安時代の貴族の日記や文学作品にみられる。
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