壒嚢鈔(読み)あいのうしょう

精選版 日本国語大辞典 「壒嚢鈔」の意味・読み・例文・類語

あいのうしょう アイナウセウ【壒嚢鈔】

室町中期の辞書。七巻本と一五巻本がある。行誉(ぎょうよ)撰。文安二~三年一四四五‐四六成立仏教風俗などに関する和漢故事国字漢字意味起源など五三六項目について記した百科事典的なもの。→塵添壒嚢抄(じんてんあいのうしょう)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「壒嚢鈔」の意味・読み・例文・類語

あいのうしょう〔アイナウセウ〕【壒嚢鈔】

室町中期の百科事典。僧行誉ぎょうよの編。7巻。文安3年(1446)成立。事物の起源、和漢の故事、国字・漢字の語源語義などを解説。→塵添壒嚢鈔じんてんあいのうしょう

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「壒嚢鈔」の意味・わかりやすい解説

壒嚢鈔
あいのうしょう

室町中期の類書。7巻(刊本は15巻)。著者は観勝寺の僧行誉(ぎょうよ)で、1445年(文安2)に巻1~4の「素問」(一般的な問題)の部が、その翌年に巻5~7の「緇問(しもん)」(仏教に関する問題)の部が成立した。初学者のために、事物の起源、語源、語義などを、問答形式で536条にわたって説明したものである。「壒」はちり、「嚢」はふくろの意で、同じ性格の先行書『塵袋(ちりぶくろ)』(編者不明、鎌倉中期成立、11巻)に範をとっている。『塵袋』から201条を抜粋し、『壒嚢鈔』とあわせて737条としたものが『塵添(じんてん)壒嚢鈔』20巻(編者不明。1532年成立)である。近世において「壒嚢鈔」といえば、この『塵添壒嚢鈔』をさす。中世の風俗や言語を知るうえで有益である。

[沖森卓也]

『浜田敦・佐竹昭広・笹川祥生編『塵添壒嚢鈔・壒嚢鈔』(1968・臨川書店)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

山川 日本史小辞典 改訂新版 「壒嚢鈔」の解説

壒嚢鈔
あいのうしょう

室町中期の百科事典。7巻。行誉(ぎょうよ)著。1445・46年(文安2・3)成立。巻1~4が一般的な問題(素問(そもん)),巻5~7が仏教に関する問題(緇問(しもん))を扱う。「塵袋(ちりぶくろ)」や「続古事談」「文選(もんぜん)」などを典拠とする。刊本には慶長古活字本・正保3年整版本があり,後者は巻2以降の各巻を2~3巻にわけて15巻とする。正保3年本は「日本古典全集」所収。複製本が「塵添(じんてん)壒嚢鈔・壒嚢鈔」として刊行

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android