家庭医学館 「声帯結節(謡人結節)」の解説
せいたいけっせつようじんけっせつ【声帯結節(謡人結節) Vocal Fold Nodules】
喉頭(こうとう)の中の声帯に生じる結節(ペンだこのようなもの)です。
声帯は2本あり、声を出すときはお互いに超高速度でこすれあいます。
そして、もっとも強くこすれあう声帯の中央部分に、たこができるのです。したがって、両側にできることが多く、こすれあう頻度の高い若い女性や学童期の男児に好発します。
また、おこりやすい職業もはっきりしていて、歌手、ナレーター、コンパニオン、ジャズダンスやエアロビクスのインストラクター、保育園の先生などによくみられます。
嗄声(させい)(しわがれ声)と声域の幅の減少などがおもな症状です。
声の乱暴な使いすぎが原因となります。しかも、その環境が長期間にわたって続いている場合に、多くみられます。
[検査と診断]
喉頭内視鏡検査で比較的簡単に診断がつきます。
各種ファイバースコープとビデオ装置を組み合わせ、声帯をテレビモニターに拡大して観察します。また、ストロボスコープといって、瞬時瞬時の発光光源を用いると、声帯振動をゆっくり見ることができ、微妙な声帯結節でもはっきりとわかります。
[治療]
声の衛生についての指導と音声治療で治療することも可能です(コラム「声の衛生についての指導」)。しかし、長時間を要するのと、日本には専門家が少ないこともあってむずかしい局面もあります。緊急で副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン薬を用いることもありますが、消炎剤や吸入療法はほとんど効果がありません。
鉗子(かんし)などで注意深く結節を切除する喉頭顕微鏡下手術が有効ですが、高度な専門的技術が必要です。
[予防]
声を多用する人の多少の声の変化はやむを得ないのですが、声に変調がみられた場合は、早期に耳鼻咽喉科(じびいんこうか)の診察を受け、結節に移行するのを防ぐことがたいせつです。