外国為替専門銀行(読み)がいこくかわせせんもんぎんこう(英語表記)specialized foreign exchange bank

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「外国為替専門銀行」の意味・わかりやすい解説

外国為替専門銀行
がいこくかわせせんもんぎんこう
specialized foreign exchange bank

外国為替銀行法第4条に基づき大蔵大臣免許を受けた外国為替・貿易金融業務を専門とする銀行。東京銀行唯一指定されていた。第2次世界大戦前の日本の貿易為替金融面においては,横浜正金銀行 (東京銀行) や台湾銀行,朝鮮銀行などの特殊銀行および一部の財閥銀行が中心となって活躍していたが,戦後これらの特殊銀行はすべて解体され,一般国内商業銀行が外為業務を併営するたてまえがとられた。しかしながら日本のように貿易依存度の高い国では,高度の機能をもった有力な為替銀行によって貿易金融の円滑化をはかることが肝要であるとの考えに基づいて外国為替銀行法が施行され,1954年8月2日東京銀行に外国為替専門銀行としての免許が与えられた。東京銀行は国内業務面ではきびしい制限を受けたが,海外業務面では優遇されていた。しかし,92年6月金融制度改革関連法が成立し,普通銀行への転換が可能となったことを受け,96年4月東京銀行が三菱銀行合併し東京三菱銀行となった。この合併により外国為替銀行法による銀行はなくなった。

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世界大百科事典(旧版)内の外国為替専門銀行の言及

【外国為替銀行】より

…外国為替業務は本来銀行業務の一つであるが,一般の国内銀行業務と異なる面も多く,国際金融取引の秩序を維持する見地などから,多くの国において外国為替業務を営める銀行を公認・指定している。日本においては,第2次大戦後1998年3月までは外国為替銀行法(1954公布)に基づいて免許された外国為替銀行(これを通称〈外国為替専門銀行〉という)である東京銀行(1996年4月,東京三菱銀行となり,外国為替専門銀行ではなくなった)と,〈外国為替及び外国貿易管理法〉に基づいて外国為替業務の取扱いが認可された銀行・金融機関を総称して外国為替公認銀行といい,通常これらの銀行を外国為替銀行と呼んできた(狭義の外国為替銀行は,日本においてはかつての東京銀行のみであった)。外国為替公認銀行は,広範な外国為替業務を行うほか,政府の委任を受けて輸出報告書の受理,輸入の承認,輸入報告書の受理など行政事務の一部を代行していた。…

【東京外国為替市場】より

… 銀行間市場としての東京外国為替市場は,外国為替銀行,外国為替ブローカーおよび通貨当局(大蔵省,日本銀行)から構成される。まず外国為替銀行とは,かつては外国為替公認銀行制度の下で外国為替銀行法に基づく外国為替専門銀行(1996年三菱銀行と合併する以前の東京銀行1行のみ)と外国為替及び外国貿易管理法(外為法)に基づき外国為替業務の認可を受けた外国為替公認銀行を指したが,1998年4月改正外為法の施行により外国為替公認銀行の制度はなくなり,機能的に外国為替業務を行う金融機関などをいう。次に外国為替ブローカーは,外国為替公認銀行間の取引の出合いを容易にする役割を担っており,その仲介によって銀行間取引が成立すると売手・買手の双方から仲介手数料を受け取る。…

※「外国為替専門銀行」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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