多島海(読み)たとうかい(英語表記)archipelago

翻訳|archipelago

精選版 日本国語大辞典 「多島海」の意味・読み・例文・類語

たとう‐かい タタウ‥【多島海】

[1] 多くの島が点在する海域起伏の多い土地が沈降し、山頂部を海面に島として残したもの。エーゲ海瀬戸内海松島湾など。
※南国記(1910)〈竹越与三郎〉多島海の風光「此行飽までも明媚なる多島海の風光を楽まんと期したるに」
[2] エーゲ海の別称

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デジタル大辞泉 「多島海」の意味・読み・例文・類語

たとう‐かい〔タタウ‐〕【多島海】

多数島々が点在する海域。
エーゲ海異称

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改訂新版 世界大百科事典 「多島海」の意味・わかりやすい解説

多島海 (たとうかい)
archipelago

多数の島々が点在する海。起伏のある山地地盤の沈降または後氷期における世界的な海面上昇によって沈水し,その開析谷が溺れて生じた地形であり,海岸は溺れ谷をもつ湾入の多いリアス海岸となる。

 archipelagoギリシアエーゲ海別名でもある。エーゲ海はギリシア語でAigaión Pélagosといい,ギリシア神話の英雄テセウスの父アイゲウスが,この海に身を投げたことにちなんでいるが,中世に転訛して〈もとの〉あるいは〈最初の〉を意味するarchiと〈海〉を意味するpélagosからarchipelagoとなった。しかし,エーゲ海に多くの島が点在していることから多島海の意でも用いられるようになり,さらに現在は,点在する島々そのものを指す〈群島〉の意で用いられている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「多島海」の意味・わかりやすい解説

多島海
たとうかい
archipelago

(1)ヨーロッパ地中海の東部、ギリシア南部からトルコ西部にかけて広がるエーゲ海の旧称

(2)エーゲ海のように島の多い海。起状の多い土地の沈降、または後氷期の海面上昇によって、高い所が海面上に残り、多島海となる。朝鮮半島の南西沖、とくに木浦(もくほ/モクポ)近海や、日本の瀬戸内海、宮城県の松島湾などは、沈降によってできた多島海である。

[半澤正男・高野健三]

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世界大百科事典(旧版)内の多島海の言及

【エーゲ海】より

…南はクレタ島を経て東地中海につながり,北東へはダーダネルス海峡,マルマラ海を経由して黒海に通じる。多島海(アルキペラゴArchipelago)という別名をもつとおり島が多く,これらはキクラデス諸島,北スポラデス諸島,ドデカネス諸島(南スポラデス諸島)ならびにクレタ島に分かれる。島々のほとんどは,ほぼ東西に走る3本の沈降海底山脈の頂上が水面に現れたものである。…

【エーゲ文明】より

…しかし,海岸線が発達し港に事欠かないため,エーゲ海に向かって開かれている。しかもこの海には多島海の名のように多くの島々が散在し,海路は陸路よりもいっそう物資の交換と文化の向上をうながす道である。日照日が多く雨の少ない瘦せ地にとって最も収益のあがるオリーブとブドウの栽培を盛んにすれば,その製品である油と酒を他の世界にまで輸出して富の蓄積ができる。…

※「多島海」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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