多連装ロケット発射機(読み)たれんそうロケットはっしゃき(英語表記)MLRS; multiple launch rocket system

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「多連装ロケット発射機」の意味・わかりやすい解説

多連装ロケット発射機
たれんそうロケットはっしゃき
MLRS; multiple launch rocket system

アメリカ軍と北大西洋条約機構 NATO軍が,ワルシャワ条約機構軍の機甲部隊を 20km以上も遠方からロケット弾で打破する目的で,1983年に導入した自走式ロケット発射機。古くは第2次世界大戦でソ連軍が用いたカチューシャ・ロケットが有名であるが,アメリカ軍が導入した 12連装式の 227mm MLRSは,ハイテクを利用して各種のロケット弾を広範囲に精密に投射できるのが特長で,最も近代的なロケット弾システムといわれ,西側各国が導入している。基本型であるフェーズIロケットの場合,12発斉射すると,各ロケット弾が 644発ずつ内蔵する子爆弾合計 7728発が2万 5000m2の地域に落下し,2斉射で敵の砲兵中隊は全滅するという。フェーズ IIは対戦車地雷ロケットで,1発に 28個の地雷が収まっており,1斉射で合計 336個の地雷が 1000m× 400mの幅で散布される。フェーズ IIIは,戦車の弱点とされる上部装甲を攻撃するトップアタック型ロケットである。湾岸戦争ではフェーズI型を中心に1万発が発射された。フェーズI型の主要目は,射程 32km,速度マッハ 1.4,全長 3.9m,直径 227mm,発射重量約 307kg,推進方式固体燃料。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android