夜尿/遺尿/遺糞(読み)やにょういにょういふん(英語表記)Enuresis Nocturna / Enuresis / Encopresis

家庭医学館 「夜尿/遺尿/遺糞」の解説

やにょういにょういふん【夜尿/遺尿/遺糞 Enuresis Nocturna / Enuresis / Encopresis】

[どんな病気か]
 夜尿(やにょう)は排尿自立の時期を過ぎても夜間睡眠中に排尿がみられるものです。遺尿(いにょう)は昼間目が覚めているときに尿がもれてしまうことをいいます。遺糞(いふん)は排便習慣が確立してから、おもに日中に不随意(ふずいい)に排便することです。
[原因]
 乳児期から引き続いて夜尿がみられる場合や、夜尿をともなう遺尿、あるいは遺糞は中枢神経系や膀胱ぼうこう)尿道系、あるいは肛門(こうもん)直腸の異常による場合があります。
 また、精神発達遅滞児(せいしんはったつちたいじ)で排泄はいせつ)の習慣が未確立な場合や、排尿排便訓練を十分にされない環境で養育された子どもである場合もあります。
 これらの要因がなく、とくに排泄の習慣がいったん確立された後に、4、5歳を過ぎてこれらの症状がみられる場合、なんらかの心理的な要因が考えられます。
 たとえば弟妹の誕生、家族の不和やトラブルがもたらす不安・緊張などや、トイレ恐怖でトイレに行けないといった場合もあります。
[治療]
 身体的な異常がある場合はその治療を優先します。心理的な要因の場合は、不安・緊張・恐怖を取り除くことが必要です。
 夜尿の場合、就寝前の水分制限や夜中に起こしてトイレへ行くなどがよく試みられますが、努力の割にはかえって緊張感を高めてしまったりもします。
 ほとんどの夜尿はいずれ治ってしまうものですが、小学校高学年になっても夜尿が続く場合、抗うつ薬自律神経薬などの薬物療法を行なうことがあります。遺糞の場合は、浣腸(かんちょう)、下剤による一定時刻の排便、心理療法(環境調整)、精神安定剤や抗うつ薬などの薬物療法を併用することもあります。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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