大に(読み)おおきに

精選版 日本国語大辞典 「大に」の意味・読み・例文・類語

おおき‐に おほき‥【大に】

[1] 〘副〙 (もと形容動詞「おおき(なり)」の連用形。連体詞「おおきな」が成立した室町時代以後の用例副詞と認める)
① はなはだ。たいそう。大いに。
※説経節・をくり(御物絵巻)(17C中)六「よこ山、おほきに、はらをたて、〈略〉をくりうたんとのせんぎなり」
② おおように。寛大に。
※浮世草子・好色一代女(1686)四「面(おもて)の奥の大(オホ)きに出られて、横平なる言葉は尻に聞(きか)したまへ」
③ ある事態が誇張やいつわりを含まない正確なものとして成立することを強調する気持を表わす。まさしく。まさに。また、相手の言葉に対する相づちにも用いる。なるほど。まったく。
史記抄(1477)三「此で見れば、景王二十年で崩ぜられた様なが、大にさではないぞ」
※春泥(1928)〈久保田万太郎夕焼雲「大きにさうかも知れねえ」
[2] 〘感動〙 (「大きにおかたじけ」「大きにありがとう」などの略か) どうもありがとう。関西で礼のことばとして使う。
※風流懺法(1907)〈高浜虚子〉一力「『玉喜久はんあげます』『姉はんおほきに』」

おおい‐に おほい‥【大に】

〘副〙 (「おおきに(大━)」の変化した語) 物の量や数が大であること。また、物事の程度のはなはだしいさまを表わす語。
① 非常に。はなはだ。
洒落本・酔姿夢中(1779)「南鐐が三つ紙につつみ入あり。釆遊大に悦び」
② 盛んに。気のすむほど。
※曲附次第(1423頃)「それらをは大いにあてがひて、拍子をこし」

おおのさ‐に おほのさ‥【大に】

〘副〙 おおように。おおまかに。
※懐竹抄(12C末‐13C初か)「昔の譜はをほのさにて、末代の人難心得

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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