大府(読み)たいふ

精選版 日本国語大辞典 「大府」の意味・読み・例文・類語

たい‐ふ【大府】

〘名〙
① 昔、中国で、宮廷や政府の器物を収納した蔵。転じて、それを管理し、また財政をつかさどった官。
今昔(1120頃か)九「玄武門にして、文本、中書侍郎として兄大府卿及び治書府の御史馬周給事中韋琨等、対ひ坐して」 〔周礼‐天官・大府〕
② 中国、唐代の郡守敬称
随筆・駒谷芻言(1782)「郡守を大府と称し、別駕長吏を、少府と称することもあり。今の俗に大殿、少殿と云が如し」
大蔵省(おおくらしょう)唐名
※拾芥抄(13‐14C)中「大蔵卿 大蔵省大府或大府寺」
④ 大宰府(だざいふ)略称
※小右記‐長元二年(1029)九月五日「仍言上公家。不越訴。始已愁大府了」
幕府の敬称。
※先哲叢談(1816)六「菅麟嶼幼才気颷発、年十三、擢列大府儒官
大名家老などの敬称。

だい‐ふ【大府】

〘名〙 大きな街。大都市
輿地誌略(1826)二「法律瑣列都謨(ハリソレツム)は杜烏羅(トウロ)河辺の大府にして」

おおぶ おほぶ【大府】

愛知県南西部の地名知多半島基部東側にある。古くは「大夫」、近世は「大符」とも書いた。名古屋市に隣接する住宅都市。昭和四五年(一九七〇市制

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デジタル大辞泉 「大府」の意味・読み・例文・類語

たい‐ふ【大府】

古代中国の官名六官の一。財政をつかさどった。
大蔵省唐名

おおぶ〔おほぶ〕【大府】

愛知県、知多半島の基部にある市。名古屋市に隣接し、住宅地化が進行。ブドウ・メロンの栽培や自動車関連工業が盛ん。人口8.5万(2010)。

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改訂新版 世界大百科事典 「大府」の意味・わかりやすい解説

大府[市] (おおぶ)

愛知県西部,知多半島の基部に位置する市。名古屋市の南に接し,東海道本線と武豊線の分岐点にあたる。1970年市制。人口8万5249(2010)。古くから名古屋市の近郊農業地域であり,特に愛知用水の通水(1961)で従来の蔬菜栽培に加えて果樹栽培も盛んになり,近年では観光農業としてのブドウ狩りに人気がある。市内の中央部を南北に走る東海道本線沿いに輸送用機械器具製造業を中心とした工場が立地する。昭和40年代に名四国道,知多半島道路が整備されて輸送能力が増し,内陸工業地帯としての性格が強まった。伊勢湾岸自動車道のインターチェンジがあり,知多半島道路を分ける。長草町本郷にある天神社では2月下旬に〈どぶろく祭〉が行われる。
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