大月光興(読み)おおつき・みつおき

朝日日本歴史人物事典 「大月光興」の解説

大月光興

没年:天保5(1834)
生年明和3(1766)
江戸後期の装剣金工家。山城屋屋号とした金工家大月光芳の子。京都生まれ。幼名は喜八郎。大竜斎,竜駒堂,紫竜堂,是空入道などの別号があり,銘は雍州光興,月光興,三津興などと切る。30歳を過ぎて一時江戸に下り,修業を重ねた。その一方で岸駒に絵を習い,長沢蘆雪の影響を受けて絵にも巧みなものがあったという。一宮長常,鉄元堂正楽と共に京都金工の三名工のひとりに挙げられている。代表作「大原女図鐔」(個人蔵)にみるように京都の風物を描写した題材など幅広い作域を示し,片切彫りにすぐれたものがある。50歳前後に五郎左衛門を襲名したとみられる。嫡男の光弘のほか,川原林秀興をはじめ篠山篤興,松尾月山など多くの門人の育成にも努め,大月派の隆盛に大きく貢献した。

(加島勝)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大月光興」の解説

大月光興 おおつき-みつおき

1766-1834 江戸時代後期の装剣金工。
明和3年生まれ。江戸にでて修業。絵画を岸駒(がんく)にまなび,長沢蘆雪(ろせつ)の影響もうけて作風図案に奇抜なものがおおい。大月派の名工と称され,おおくの門人をそだてた。天保(てんぽう)5年8月15日死去。69歳。京都出身。通称は喜八郎,五郎左衛門。号は竜駒堂,竜斎など。屋号は山城屋。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の大月光興の言及

【装剣金具】より

…京都では一宮(いちのみや)長常(1722‐86。通称粕屋忠八,号に雪山,蟻行子など)や大月光興(1766‐1834。通称山城屋喜八郎,のち五左衛門)をはじめとする大月派などが聞こえ,そのほか各城下にも多くの装剣専門の金工が出て,それぞれ特色ある作風を樹立した。…

※「大月光興」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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