大服茶(読み)オオブクチャ

デジタル大辞泉 「大服茶」の意味・読み・例文・類語

おおぶく‐ちゃ〔おほぶく‐〕【大服茶】

元日若水でたてた茶。梅干し・コンブなどを入れて飲み、縁起を祝う。福茶 新年》「―昆布長寿の味を飲む/句仏

だいぶく‐ちゃ【大服茶】

《「だいふくちゃ」とも》「おおぶくちゃ」に同じ。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「大服茶」の意味・わかりやすい解説

大服茶
おおぶくちゃ

新年の祝儀として飲まれる茶の一種。王服、皇服、大福とも書く。大服とは、元来茶を多量に点(た)てることをいうが、大服が大福に音通するところから、祝儀茶として、新年の嘉例(かれい)として飲まれるようになった。現在では中に梅干しと昆布を入れて縁起を祝っている。また王服、皇服とは、村上(むらかみ)天皇(926―967)が六波羅蜜(ろくはらみつ)寺の観音信仰され、尊前の献茶を服する夢をみて飲んだところ、病が治癒したとの故事からいわれるようになった。六波羅蜜寺では、古くより皇服茶の儀に空也上人(くうやしょうにん)の信仰を加味して、青竹による皇服茶筅(ちゃせん)を新年に授与する民間行事が行われる。

[筒井紘一]

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飲み物がわかる辞典 「大服茶」の解説

おおぶくちゃ【大服茶/大福茶】


関西地方などで正月無病息災を祈って飲む、若水を用いて梅干しや結び昆布などを入れた煎茶。951(天暦5)年、空也上人が都に流行した疫病平癒のため十一面観音像を作って市内をひきまわり、病人にこの茶を飲ませたと伝えられ、この観音像を安置して開創された六波羅蜜寺では、こんにちも三が日にこの茶が振る舞われる。また、当時の村上天皇がこれにあやかって正月に服したとも伝えられ、「皇服茶」「王服茶」とも書く。◇「だいぶくちゃ」ともいう。

だいぶくちゃ【大服茶/大福茶】


おおぶくちゃ。⇒おおぶくちゃ

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