大正新教育運動(読み)たいしょうしんきょういくうんどう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大正新教育運動」の意味・わかりやすい解説

大正新教育運動
たいしょうしんきょういくうんどう

明治末から大正期を通じて展開された教育改革の理論的ならびに実践的な運動。明治中期にヘルバルト派教育理論が定着して,支配的となった注入的,画一的な一斉教授に批判的な立場を共通にもつ。児童の自発性の重視,個性の尊重,生活経験を通じての学習などをうたった諸説が提唱され,実践的に試みられたものもあった。一般に自由主義的とされるこれらの主張は,19世紀以来諸外国で提唱されたものによることが多かったが,当時の教育体制のなかでは,公立学校に広く浸透することは困難で,提唱者の勤務する師範学校付属学校および提唱者が理論の具体化のために創設した私立学校 (たとえば沢柳政太郎成城小学校羽仁もと子の自由学園) をおもな実践の場とするにとどまり,かつ児童の編成法や授業の方法など技術改革の域を大きくこえることはなかった。大正末から昭和初めにかけて社会主義的立場からの,より根本的な改革運動も起った。

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