大河トーラス(読み)おおかわトーラス(英語表記)Okawa torus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大河トーラス」の意味・わかりやすい解説

大河トーラス
おおかわトーラス
Okawa torus

世界で初めてドーナツ状の容器 (トーラス) 内に磁気プラズマを閉じ込めることに成功した装置。アメリカのガルフ・ゼネラル・アトミックス社の主任研究員だった大河千弘が D.W.カーストと共同で考案した。 1965年,イギリスのカラム研究所で開かれた核融合国際会議で発表された。それまでプラズマを安定状態で閉じ込めることは困難だったが,大河らのマルチポール (多重極) トーラス型装置は,磁力線を発生するコイルを工夫,初めて磁気の圧力でプラズマ閉じ込めに成功した。トーラスの本体は直径 2m,高さ 1mのドーナツ状の容器で,中に2~4本の導線が入っており,これに同方向の強い直流電流を通すと,プラズマ閉じ込め磁場が形づくられる。日本でも 1969年に,東海村の原子力研究所にこの小型版(JFT-1)がつくられた。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

黄砂

中国のゴビ砂漠などの砂がジェット気流に乗って日本へ飛来したとみられる黄色の砂。西日本に多く,九州西岸では年間 10日ぐらい,東岸では2日ぐらい降る。大陸砂漠の砂嵐の盛んな春に多いが,まれに冬にも起る。...

黄砂の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android