大無量寿経(読み)ダイムリョウジュキョウ

デジタル大辞泉 「大無量寿経」の意味・読み・例文・類語

だいむりょうじゅきょう〔ダイムリヤウジユキヤウ〕【大無量寿経】

無量寿経

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改訂新版 世界大百科事典 「大無量寿経」の意味・わかりやすい解説

大無量寿経 (だいむりょうじゅきょう)

大乗仏典の一つ。《無量寿経》《大経》とも呼ばれる。浄土教の根本聖典の一つで,《観無量寿経》《阿弥陀経》とともに〈浄土三部経〉を形成する。原題サンスクリットで《スカーバティービューハSukhāvatıvyūha(極楽荘厳)》といい,同題の《阿弥陀経》と区別して,〈大スカーバティービューハ〉と呼ぶ。サンスクリット原典,チベット語訳,および5種の漢訳が現存する。漢訳は支婁迦讖(しるかせん)訳(漢訳),支謙訳(呉訳),康僧鎧(こうそうがい)訳(魏訳),菩提流支(ぼだいるし)訳(唐訳),法賢訳(宋訳)であるが,前3訳に関しては訳者に疑問がもたれている。一般に用いられるのは魏訳である。内容は,まず阿弥陀仏がまだ法蔵菩薩という名で修行していたときに,すべての世界の中でも最高の極楽世界をつくって衆生を救済したいという誓願を起こした因縁から説き起こし,続いてその誓願が成就してできた極楽の情景を描写し,次に極楽へ往生する衆生の3種類のあり方(三輩(さんぱい))を述べる。漢・呉・魏訳では,この後に極楽と比べてこの穢土(えど)の濁悪のさまを述べる三毒五悪の段がある。法蔵菩薩の誓願は漢・呉訳では24であるが,増広された魏訳の48願の形で親しまれている。なかでも第18願では,〈十方世界の衆生が心を専一にして(至心)深く信じ(信楽)極楽に往生したいと願い(欲生),わずか10回でも心を起こす(十念)ならば,必ず極楽に往生できる〉と説いている。この〈十念〉が10回の念仏と解され,中国,日本における念仏による往生の思想根拠として重視されるにいたった。
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百科事典マイペディア 「大無量寿経」の意味・わかりやすい解説

大無量寿経【だいむりょうじゅきょう】

大乗仏典の一つ。浄土三部経の中心経典。2巻。無量寿経が正称。大経,双巻経とも。法蔵菩薩が世自在王仏のもとで願(がん)を立て,それを成就して阿弥陀仏となり,極楽浄土を建設することを説く。この中で念仏往生本願が説かれるので,浄土教の根本聖典とされる。サンスクリット原典,チベット語訳,5種の漢訳本がある。世親(せしん)の注(浄土論)をはじめ,慧遠(えおん)・吉蔵(きちぞう)等多くの注釈書がある。
→関連項目阿弥陀経教行信証浄土真宗仏教

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大無量寿経」の意味・わかりやすい解説

大無量寿経
だいむりょうじゅきょう

無量寿経」のページをご覧ください。

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世界大百科事典(旧版)内の大無量寿経の言及

【極楽】より

…鳥のさえずりや,水や風の音はそのまま説法となり,極楽の衆生はそれをきいて仏を念ずる。《大無量寿経》記載の第35願には変成男子(へんじようなんし)(女が男に変わること)の説がみられるから,極楽に女はいないことになるが,解釈のしかたによっては女は単に少ないだけということにもなる。 極楽の観念の起源については種々の説がある。…

※「大無量寿経」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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