大甫七重郎(読み)おおうら・しちじゅうろう

朝日日本歴史人物事典 「大甫七重郎」の解説

大甫七重郎

生年生没年不詳
江戸前期,紀州加田浦(和歌山市)出身の漁民。七十郎とも。薩摩や伊豆などに出漁して各地で漁場を開発した。元和年中(1615~24)に上総国矢の浦(勝浦市)に進出して網漁を試み,紀州漁民による房総地方への集団的出漁の先駆となった。『みよはなし』によれば,矢の浦に居住した七重郎の連絡により,その翌年に,岩和田(御宿町)などに出漁した紀州湯浅の貝柄助右衛門と栖原のほんぼう四平次らと共に,関東地方での八手網(敷網類)による鰯漁を開始したという。漁法は房総各地に伝播し,明治時代まで盛んに行われた。<参考文献>仁井田助左衛門道貫「みよはなし」(宇野脩平著『紀州加太の史料』1巻),羽原又吉『日本漁業経済史』中巻2

(小島孝夫)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大甫七重郎」の解説

大甫七重郎 おおうら-しちじゅうろう

?-? 江戸時代前期の漁師
元和(げんな)(1615-24)のころ,紀伊(きい)加太浦(和歌山県)より上総(かずさ)矢の浦(千葉県勝浦市)に進出し,八手(はちだ)網によるいわし漁をはじめた。これより房総各地にいわし漁がひろまった。名は七十郎ともかく。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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