大矢田市(読み)おやだいち

日本歴史地名大系 「大矢田市」の解説

大矢田市
おやだいち

[現在地名]美濃市大矢田

中世後期から近世にかけて存在した市場。現在、大矢田地区に市場いちばの通称名が残り、江戸時代には大矢田村の本郷であった(濃州徇行記)。「梅花無尽蔵」によれば、応仁の乱を避け、龍門りゆうもん(現在地は加茂郡七宗町であるが、当時は現岐阜市の長良福光にあったともいわれる)に身を寄せていた万里集九は大矢田にある極楽ごくらく寺の「盖岐之紙市」で大矢田産の魚箋(美濃紙)を一〇〇文で買求めている。大矢田は武儀むぎ川筋武芸むげ谷や板取いたどり川筋のまき谷などの有数の美濃紙生産地を控えて紙市として発展し、応仁三年(一四六九)三月一二日の室町幕府奉行人連署奉書案(京都御所東山御文庫記録)に「大屋田市紙荷公事物事、毎月六度令運送」とあり、この時点で六斎市が成立していた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大矢田市の言及

【市】より

…市の開催日も六斎市と言われるような5日ごとの市が多くなる。美濃大矢田市や宇治の六斎市が著名である。これらの市の販売座席は,領主に公事物を納めることで,その権利を得た。…

※「大矢田市」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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