大粮(読み)タイロウ

デジタル大辞泉 「大粮」の意味・読み・例文・類語

たい‐ろう〔‐ラウ〕【大×粮】

律令制で、諸司・諸寮の下級官人に支給された米・塩・布など。

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精選版 日本国語大辞典 「大粮」の意味・読み・例文・類語

たい‐ろう ‥ラウ【大粮】

〘名〙
令制での官人給与総称。ふつう、下級官人である諸司諸寮の衛士(えじ)仕丁采女(うねめ)女丁などの番上のものに給する米・塩・布・綿などを指す。また、それにあてるために諸国が貢納する米など。公粮。たいりょう。
延喜式(927)一一「凡親王以下月料并諸司要劇及大粮等、毎月申官出充」
② 転じて、給与。
東寺百合文書‐を・応永一五年(1408)五月一三日「金蓮院出仕大粮以下 百五十文」

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改訂新版 世界大百科事典 「大粮」の意味・わかりやすい解説

大粮 (たいろう)

日本古代の律令制で,仕丁(しちよう),衛士,采女(うねめ)などの中央で働く者に支給された食料。民部省を通して,庸として徴収された米や塩,布や綿(真綿)等が支給された。ある官司で必要な大粮は1ヵ月分まとめて前月末に民部省に申請することになっていた。その申請の文書で,745年(天平17)の分が《正倉院文書》に残っている。それによると上記の労働者のほか,特殊技術をもつ下級官人や工人たちも大粮の支給対象となっていたようである。一方,平城宮跡などからは,地方から送られてきた庸米に付けられた木簡が多数出土しているが,それらは大粮として役丁などに米が支給されたのち捨てられたものであろう。調庸制が行き詰まってくると,大粮の米は庸米からではなく,諸国の田租の米をついて〈年料租舂米(そしようまい)〉として送られてきたものから支給されるようになった。
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