大般若波羅蜜多経(読み)だいはんにゃはらみつたきょう(英語表記)Mahāprajñāpāramitā-sutra

百科事典マイペディア 「大般若波羅蜜多経」の意味・わかりやすい解説

大般若波羅蜜多経【だいはんにゃはらみつたきょう】

略して大般若経般若経中最大の規模をもつ。初期大乗経典であるが,この形にまとまったのは,唐の玄奘(げんじょう)が16部の般若系経典を翻訳してからである。全600巻。各部とも成立思想は区々だが,般若(真実の智恵)は具体的なものでないこと,よって空(くう)(概念的認識によるものではないこと)であるとする点で共通する。〈大品(だいぼん)般若〉(27巻,羅什訳),〈道行般若〉,〈文殊般若〉,〈金剛般若〉,〈実相般若(理趣経)〉などが含まれ,中国・日本で最も重要な経典。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「大般若波羅蜜多経」の意味・わかりやすい解説

大般若波羅蜜多経
だいはんにゃはらみったきょう
Mahāprajñāpāramitā-sutra

仏教経典。中国,唐の玄奘の訳。 600巻。般若部経典の集大成といわれる。四処,16会の説法から成り,そのうち初会および 11会以下は玄奘が新しく将来したものであるが,第2,第3会は鳩摩羅什訳『大品般若経』などに合し,第4,第5会は『小品般若経』など,第6会は『勝天王般若経』に,第7会は『文殊般若経』に,第8会は『濡首菩薩経』に,第 10会は『理趣経』にそれぞれ合している。経中に「般若波羅蜜多を聴受するとき,その因縁によってかの有情類はもろもろの悪趣において不随の法を得,および無上正等覚において永く退転せず」とあるところから,疫病飢饉などの災いを払い,鎮護国家のために僧を集めて大般若会を開いて,本経を転読する行事が各宗派で行われるようになった。現在でも禅宗真言宗では毎年行われている。

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