出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
天ノ川
あまのがわ
上ノ国町東部山地に源を発し、北部を西流して日本海に注ぐ二級河川。流路延長約二八・六キロ(うち指定区間二二・二キロ)、流域面積二九七平方キロ。「北海道河川一覧」には天野川と記され、また天の川とも書かれる。木古内町境や厚沢部町・江差町境の山々を源とする支流のうち鰔川・神明の沢川・中ノ沢川・檜内沢川・目名川などを右岸で、上ノ沢川・宮越内川・厚志内川・苫符川などを左岸で合せる。中流域から河口付近では沖積平野が形成されている。河口南岸の大澗湾は古くから湊として利用された。
「新羅之記録」によると、康正三年(一四五七)のコシャマインの蜂起により和人の館が次々と攻撃されたが、当川南岸の蠣崎季繁が拠る花沢館は寄寓していた武田信広の活躍もあり陥落を免れた。蠣崎氏の入婿となり家督を継いだ信広は、この後当川北岸に洲崎館、南岸の夷王山中腹に勝山館を築いて本拠とした。その後アイヌとの攻防の最中、信広の後を継いだ蠣崎光広・良広(義広)父子は永正一一年(一五一四)小舟一八〇余艘に乗り、松前大館に移転したという。
天ノ川
てんのかわ
天川村の中央を貫流する十津川の最上流部の名称。源は二つあり、ともに大峰山麓に発する。北麓に発するものは山上川といい、西流して大字洞川を経て南西に転じる。南麓からのものは神童寺川で南西流し、川迫川となって北西流し、左岸から弥山川、右岸から白倉谷を合わせる。
天ノ川
てんのかわつじ
[現在地名]大塔村大字天辻
吉野川と十津川との分水嶺にあたる天辻峠の南に立地。「大和志」の吉野郡村里の項に「天ノ川辻簾坂本村出戸」と記される。西熊野街道と高野山(和歌山県)に通じる古道との交差点にあり、古来、交通の要地、物資の集散地であった。畔田伴存の「吉野郡名山図志」に「天の川辻 坂本へ拾八丁、此地道幅壱丈余、山中には稀なる道也、家建も大にして、凡て問屋也、五条より此地江牛馬に米酒諸物を附来り、是より歩行荷となり、十津川江入る」とみえる。
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
天ノ川
てんのかわ
奈良県南部、吉野郡天川(てんかわ)村を南西流する十津(とつ)川の上流部。延長40キロメートル。源流は山上(さんじょう)ヶ岳、大普賢(だいふげん)岳付近に発する山上川、神童子(じんどうじ)川、川迫(こうせ)川で、北角(きとずみ)付近で合流して天ノ川となる。山地を嵌入蛇行(かんにゅうだこう)しながら南西流して五條(ごじょう)市大塔(おおとう)町地区に入り、猿谷(さるたに)貯水池を経て十津川となる。渓谷美に優れ、古歌には「あまのかわ」として詠まれている。北角より上流はアメノウオの宝庫。
[菊地一郎]
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天ノ川
てんノかわ
奈良県中部を西流する川。十津川の上流。長さ約 40km。山上ヶ岳に源を発して南西流,猿谷ダム付近で南に向きを変え,やがて十津川となる。上流部は急流で渓谷美にすぐれ,ビワマス (アメノウオ) の宝庫。古歌に詠まれた「あまのかわ」にあたる。
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世界大百科事典(旧版)内の天ノ川の言及
【十津川】より
…長さ約110km。上流部は天(てん)ノ川とも呼ばれる。大塔村,十津川村では穿入(せんにゆう)蛇行して深いV字谷を刻んでいるが,両岸の河岸段丘上に狭小な耕地と集落が立地する。…
※「天ノ川」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」