天地丸(読み)てんちまる

精選版 日本国語大辞典 「天地丸」の意味・読み・例文・類語

てんち‐まる【天地丸】

徳川幕府の代表的な御召御座船。寛永七年(一六三〇)三代将軍家光のとき建造され、以後幕末まで数度の修理を加えられながら使用された。上口長さ九三尺(約二八メートル)、肩幅二三・七尺(約七メートル)、深さ六・三尺(約一・九メートル)、七六挺立、重層屋形をもつ朱塗りの豪華船で、将軍の御座船として最も多く使用。天地。〔通航一覧(1853)〕

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天地丸」の意味・わかりやすい解説

天地丸
てんちまる

徳川家光が将軍だった寛永7 (1630) 年,御座船として建造され,以来幕末にいたるまでの長い間数度の修理を加えられながら使用されてきた幕府水軍を代表する関船全長約 33m,肩幅約 7m,深さ 1.9mの船体は,総矢倉とともに朱塗りで,多数の飾り金具で装飾した華麗なものであり,さらに船首寄りに2階造りの豪華な屋形を設けて,将軍の御座船にふさわしい絢爛たる船であった。推進は櫓 76丁で漕ぎ,帆走用として 18反の帆を装備していた。

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世界大百科事典(旧版)内の天地丸の言及

【日の丸】より

…江戸時代に日の丸を重用したのは幕府である。将軍の御座船安宅丸(あたけまる)と天地丸は多数の日の丸の幟(のぼり)で装飾されていたし,1673年(延宝元)に年貢米廻漕のために雇った廻船に立てることを義務づけて以来,日の丸の幟(日の丸船印・朱の丸船印と呼ぶ)が幕府船の標識として常用された。また朱の丸の帆印は1799年(寛政11)から始まる幕府の第1次蝦夷地直轄時の赤船(あかふね)で使われている。…

※「天地丸」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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