天城峠(読み)アマギトウゲ

デジタル大辞泉 「天城峠」の意味・読み・例文・類語

あまぎ‐とうげ〔‐たうげ〕【天城峠】

伊豆半島中央部、伊豆市河津かわづ町との境にある峠。標高840メートル。北伊豆南伊豆とを結ぶ交通の要所で、峠の下に新旧2本の天城トンネルが通じる。旧トンネル川端康成小説伊豆の踊子」の舞台となった。

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精選版 日本国語大辞典 「天城峠」の意味・読み・例文・類語

あまぎ‐とうげ ‥たうげ【天城峠】

静岡県天城山西側の峠。下田街道途中にある。標高八三〇メートル。二本杉峠。

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日本歴史地名大系 「天城峠」の解説

天城峠
あまぎとうげ

天城湯ヶ島町湯ヶ島と賀茂かも河津かわづ梨本なしもとの境に位置する峠。標高約八三〇メートル。狩野かの川と河津川の分水界をなす。江戸時代から明治にかけて下田街道が通った天城峠は、現在地の西方にあったと考えられている。古くは古峠を越えたとされるが、安永年間(一七七二―八一)頃にはちゆうけん峠を越える道が完成している(「取替証文」小森家文書)。湯ヶ島村から梨本村までの御林内六里の間は下田街道最大の難所であった。「六里が間に一つ家だになく、(中略)このあたり坂路のけはしさいはんかたなし、皆人とばかり行きてはいきつき」(文化七年「伊豆日記」)という心細さであった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天城峠」の意味・わかりやすい解説

天城峠
あまぎとうげ

静岡県、伊豆半島中央部、伊豆市と賀茂(かも)郡河津町との間にある峠。標高840メートル。北伊豆と南伊豆との境界をなし、狩野川(かのがわ)と河津川との分水界である。国道414号、通称下田街道(しもだかいどう)が越える。かつての天城越(ごえ)の峠路は、現在の峠の西方にある二本杉峠を通っていた。1905年(明治38)長さ446メートルの旧天城トンネルが開通し、1970年(昭和45)に長さ800メートルの新天城トンネルが有料道路で開通した(2000年無料化)。島崎藤村、田山花袋(かたい)らが紀行文に記し、とくに川端康成(やすなり)の『伊豆の踊子』に登場するのは、旧天城トンネルと天城峠で、旧道は「踊り子コース」として観光用の遊歩道となっている。峠から東へは八丁(はっちょう)池を経て天城連山へ、西は猫越(ねっこ)火山から仁科(にしな)峠への稜線(りょうせん)が縦走コースとなる。峠一帯は「昭和の森天城山自然休養林」に指定され、施設整備が進められている。

北川光雄]


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改訂新版 世界大百科事典 「天城峠」の意味・わかりやすい解説

天城峠 (あまぎとうげ)

静岡県伊豆半島中央部の峠。標高約820m。伊豆市と賀茂郡河津町との境界をなし,狩野川沿いの口伊豆と河津川沿いの奥伊豆との分水界にもあたる。天城越えは峠七里と呼ばれ,古くは南斜面の新山峠から古峠を経由したが,宗太郎から中間業を越える道,大川端から二本杉峠を越える道などに移行し,1905年に長さ446mのトンネルが開通した。国道414号線(下田街道)にほぼ並行して70年に天城トンネル(長さ800m)の有料道路(2000年無料開放)が完成し,旧道は〈踊り子ライン〉という観光遊歩道となった。峠から東へは八丁池,白田峠,万二郎岳へとつづく天城連山の稜線,西は猫越(ねつこ)火山から天城育成牧場へと縦走路がのびている。一帯は御料林,国有林として保護されてきた森林で,天城は甘木に由来しているといわれる。八丁池,天城峠,滑沢渓谷などをふくむ一帯は昭和の森天城自然休養林に指定されている。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天城峠」の意味・わかりやすい解説

天城峠
あまぎとうげ

静岡県東部,伊豆半島の中部,天城山と猫越火山との鞍部にある峠。伊豆市と河津町の境に位置する。標高約 800m。狩野川と河津川の両水系の分岐点で,川端康成の『伊豆の踊子』ゆかりの峠で知られている。 1970年,標高 643mの地点に長さ 773mの新天城トンネルが開通し,南伊豆への往来が容易となった。峠付近は天城国有林地帯で,スギ,マツの人工林や,ツガ,ケヤキの天然林が繁茂している。トンネルの東方に八丁池の景勝地がある。富士箱根伊豆国立公園に属する。

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