天寧寺(読み)てんねいじ

日本歴史地名大系 「天寧寺」の解説

天寧寺
てんねいじ

[現在地名]福知山市字大呂

大呂おおろ集落の西北の段丘上にある。紫金山と号し、臨済宗妙心寺派、本尊釈迦如来

草創については不詳だが、中興開山は夢窓疎石の弟子愚中周及、当時の檀那は当地の地頭、大中臣那珂宗泰(法名宗吽)那珂氏は鎌倉末に常陸国から当地佐々岐ささき下山しもやま(金山郷)に来住したと伝える。のち地名をとって金山氏を名乗る。

愚中は美濃国の人、夢窓疎石の教えを受け、のち天龍寺船で中国に渡り、揚子江鎮江の金山寺即休契了の門に入った。師の印可を得て衣鉢を継ぎ、即休の頂相(肖像画)を与えられたが、それは天寧寺に現存し、李竜眠の描いた十六羅漢像(一六幅)とともに重要文化財に指定されている。滞留一〇年ののち帰国した愚中は一時臨川りんせん(現京都市右京区)南禅なんぜん(現京都市左京区)などに住したが、大中臣那珂氏の氏寺天寧寺に入寺したのは貞治四年(一三六五)のことである。この間の事情については「仏徳大通禅師愚中和尚語録」(応永二八年開版)に載せる年譜の貞治四年の項に「師年四十三、出世野、移州之漆原、于時英霊仲、居金山天寧寺、師之南禅旧識也、檀那大中臣那珂宗泰慕師道、与霊仲相謀、虚金山堅請、師謂金山江南縁遇之地、乃往而応」とある。

なお当時天寧寺が那珂氏に手厚く保護を受けていたことは、康安二年(一三六二)二月三日付の宗吽大中臣宗泰所領寄進状(天寧寺文書、以下とくに記さない限り同文書による)によってうかがえる。

天寧寺
てんねいじ

[現在地名]尾道市東土堂町

千光寺せんこうじ山東南麓にあり、海雲山と号し曹洞宗。本尊釈迦如来。創立当初は臨済宗で、「芸藩通志」に普明国師(春屋妙葩)の開基とあり、貞和年間(一三四五―五〇)に足利尊氏が造営して七堂伽藍を備え、境内およそ三町と記す。「普明国師行業実録」に、貞治六年(一三六七)尾路おのみちの万代氏道円の発願により、海雲山天寧寺を建立、普明国師を請じて開山とし、永く門葉の継踵の道場とするとあり、京都天龍寺末であった。当寺の寺記には、貞治年間道円の発願で創立、嘉慶二年(一三八八)尾道人道慶が五重塔を建立とある。

天寧寺
てんねいじ

[現在地名]青梅市根ヶ布

東山ひがしやまにある。後背はかすみの池。高峰山と号する。曹洞宗。本尊は釈迦如来。文亀年間(一五〇一―〇四)三田政定による創建と伝え、開山は甲斐広厳こうごん(現山梨県一宮町)二世の一華文英という。文英は永正三年(一五〇六)神嶽通竜の禅師号および紫衣を贈られた(風土記稿)。大永元年(一五二一)一月一〇日三田政定が銅鐘を寄進、その銘にそま小曾木おそき郷高峰山天寧禅寺、開山一華、二世松潤、三世現住宗源とあるほか、大檀那は平氏朝臣将門之後胤三田弾正忠政定と記している。寺地はもと南の古屋敷にあったが、天正年間(一五七三―九二)兵火にかかり、七世源朔の代に現在地に移転したという。天正一九年朱印二〇石の地を付された。

天寧寺
てんねいじ

[現在地名]北区天寧寺門前町

万松山と号し、曹洞宗。本尊釈迦如来。開基は祥山、もとは天台宗比叡山延暦寺末と伝える。安土桃山時代の武将直江兼続が再興し、のち板倉勝重・松平乗元が復興に力を尽したという(拾遺都名所図会・坊目誌)。観音堂には後水尾天皇念持仏と伝える聖観音像と、東福門院念持仏と伝える薬師如来像を安置し、絹本墨画馬祖居士問答図(国指定重要文化財、京都国立博物館寄託)を蔵する。

天寧寺
てんねいじ

[現在地名]旭川市永山四条二〇丁目

浄土真宗本願寺派。香華院弓波山と号する。本尊阿弥陀如来。明治二六年(一八九三)創立。永山ながやま屯田入地の頃、大隊長らが民生安定のため永山・東旭川・当麻とうま三ヵ村の共同墓地を設定、その北端の九丁目に香華院として説教場を創立したのが始まり。

天寧寺
てんねいじ

[現在地名]会津若松市東山町石山 天寧寺

天寧寺集落の東方山麓にあり、万松山と号し、曹洞宗。本尊聖観音。応永二八年(一四二一)蘆名盛信が南英に開山させた。南英は師の傑堂を開山とし、自らは二世となる。代々高徳の僧が絶えなかったが、七世のとき火災にあう。蘆名盛氏のときに再興され、盛氏は永楽一〇〇貫文を与えた。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「天寧寺」の意味・わかりやすい解説

天寧寺 (てんねいじ)
Tiān níng sì

中国の仏寺。各地に同名のものがある。北京市宣武門広安門外の天寧寺は,北魏の孝文帝によって創建された。現存する天寧寺塔は遼代に建設され,明・清時代に修築された。全高57.8m,軒だけを13層重ねた密檐(みつえん)式の八角塼塔で,遼・金時代の仏塔の主流を占めたこの形式の代表的遺構。須弥座式基壇と初層塔身の部分がとくに高く,木造を模した斗栱(ときよう),欄干,格狭間,門窓,力士,菩薩,雲竜などの彫刻・装飾がすぐれる。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

事典・日本の観光資源 「天寧寺」の解説

天寧寺

(滋賀県彦根市)
湖国百選 社/寺編」指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

デジタル大辞泉プラス 「天寧寺」の解説

天寧寺

広島県尾道市にある曹洞宗の寺院。1367年創建。三重塔は「天寧寺塔婆」として国の重要文化財に指定されている。

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