天文時(読み)てんもんじ(英語表記)astronomical time

精選版 日本国語大辞典 「天文時」の意味・読み・例文・類語

てんもん‐じ【天文時】

〘名〙
平均太陽時で、正午基点とする制度。一九二五年一月一日以後用いられない。⇔常用時
天文学的に決めた時間システム

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デジタル大辞泉 「天文時」の意味・読み・例文・類語

てんもん‐じ【天文時】

天体の位置観測に基づく時法の総称恒星時太陽時暦表時など。→原子時

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改訂新版 世界大百科事典 「天文時」の意味・わかりやすい解説

天文時 (てんもんじ)
astronomical time

地球および太陽系天体の運動に基づく時刻システムの総称である。このうち,地球の自転角度に基づくものに,太陽時平均太陽時恒星時などがあり,また地球,月,内惑星公転運動を基準としたものに暦表時がある。前者自転時後者公転時または天体力学時という。自転時の代表例は平均太陽時であり,これは経度0°の子午線に関する平均太陽の時角へ12時を加えたものとして定義される。これは地球の自転角度に正確に比例する量ではあるが,自転速度変動があるため,物理的に一様な時刻システムとは限らない。一方,暦表時は地球がその公転軌道上で占める位置(黄道上の太陽の位置)を観測して,この結果をその理論位置に照らして定められる。現実には月の位置の観測結果をその天体暦に照らして,暦表時と世界時の差,または暦表時と国際原子時の差として結果が求められている。なお,この天文時に対する用語として,天体運動とはまったく独立な原子時がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天文時」の意味・わかりやすい解説

天文時
てんもんじ

広義には原子時計により定まる原子時に対して、天文学的に決まる時系をいう。地球の自転による世界時系と、公転から決まる暦表時系がある。狭義には平均太陽のグリニジ子午線の南中をもって始まる平均太陽時と、1925年1月1日以後天文学で用いられるようになった、真夜中に始まるグリニジ常用時(世界時)があり、この両者を区別して、正午に始まるグリニジ平均太陽時をグリニジ平均天文時という。

[渡辺敏夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天文時」の意味・わかりやすい解説

天文時
てんもんじ
astronomical time

1925年以前の天文学の計時法。平均太陽時の正午を1日の初めとして記録したが,現在ではこの方法は廃止され,特に天文時という呼称はなくなった。しかし,ユリウス日ではこの時法が用いられる。

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百科事典マイペディア 「天文時」の意味・わかりやすい解説

天文時【てんもんじ】

地球や太陽系の天体の運行に基づく時刻システムの総称。地球の自転角度に基づく太陽時,平均太陽時,恒星時など(自転時)と,地球,月,内惑星の公転運動を基準にした暦表時(公転時または天体力学時)がある。

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