天正狂言本(読み)てんしょうきょうげんぼん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天正狂言本」の意味・わかりやすい解説

天正狂言本
てんしょうきょうげんぼん

現存最古の狂言台本。巻末に天正6 (1578) 年の日付があるため,この名で呼ばれる。 103番の狂言を収めるが,各曲とも,歌謡や語りの部分はやや詳しいものの梗概ふうの簡単な記述で,脚本の体をなしていない。しかし,現在ではみられない曲が二十数番あるほか,内容や演出に素朴さや卑俗さを残した例が多く,式楽化以前の狂言の古態をしのぶ資料となっている。法政大学能楽研究所蔵。日本古典全書『狂言集・下』,古川久編『狂言古本二種』に翻刻されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android