天王星(読み)てんのうせい

精選版 日本国語大辞典 「天王星」の意味・読み・例文・類語

てんのう‐せい テンワウ‥【天王星】

太陽系に属し、太陽から七番目に近い惑星。太陽からの平均距離二八億七一〇〇万キロメートル、体積は地球の約六三倍、質量は地球の一四・六倍。公転周期約八四年、自転周期は約一七・二時間。一七八一年、イギリスのハーシェルが発見。望遠鏡で最初に発見された惑星。赤道面と軌道面の傾斜は約九八度で、黄道面内を横倒しになって回っている。衛星二十数個を有する。
小学読本(1874)〈榊原・那珂・稲垣〉二「惑星或は遊星といふは其数多しといへども其中最も大なる者水星、〈略〉天王星、海王星の八なり」

てんおう‐せい テンワウ‥【天王星】

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デジタル大辞泉 「天王星」の意味・読み・例文・類語

てんのう‐せい〔テンワウ‐〕【天王星】

《〈ラテン〉Uranus太陽系の7番目の惑星。太陽からの平均距離28億7500万キロ。公転周期84.022年、自転周期0.718日、赤道半径2万5559キロ、質量は地球の14.54倍。自転軸が軌道面に対し97.9度傾き、横倒しで自転。多数の環、28個の衛星をもつ。1781年、英国のF=W=ハーシェルが発見。ウラノス
[補説](命名された衛星)エアリエルウンブリエルティタニアオベロンミランダコーディリアオフェーリアビアンカクレシダデスデモーナジュリエットポーシアロザリンドベリンダパックキャリバンシコラックスプロスペローセテボスステファノトリンキュロフランシスコマーガレットフェルディナンドペルディータマブキューピッド
[類語]太陽系水星金星明星明けの明星宵の明星地球火星木星土星海王星

てんおう‐せい〔テンワウ‐〕【天王星】

てんのうせい(天王星)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「天王星」の意味・わかりやすい解説

天王星
てんのうせい
Uranus

太陽系の内側から 7番目の惑星木星型惑星の一つで,還元性大気に包まれている。太陽からの距離は近日点で 27億4194万km,遠日点で 30億814万kmで,軌道の離心率は 0.0472となる。公転周期は 84.02年,赤道半径約 2万5559km(地球の約 4倍)。極大光度は 5.7等で,肉眼でかろうじて見え,天球上の動きは小さく,1781年ウィリアム・ハーシェルによって惑星であることが発見された。質量は地球のほぼ 15倍以上あり,体積は 50倍をこえる。アルベド 0.84,薄青色で,かすかに縞模様が見られる。自転周期は天王星磁場からの電波放射を分析することにより約 17.23時間前後であると見積もられていたが,1986年無人探査機ボイジャー2号(→ボイジャー)の電波観測から 16.5~17.1時間という値が得られた。自転軸は軌道に対して 97.86°傾き,ほとんど軌道面と一致して,公転面上を転がるかたちで回転している。1977年に天王星による恒星の掩蔽観測中偶然に天王星を取り巻く九つの環が発見され,その後のボイジャー2号の接近飛行による観測で 10番目の狭い環とそれまでに見つかっていた環の間に広がる塵の帯が発見された。環と環の間は多数の塵状粒子で満ちており,三つの環は円環状であるがそのほかの環は大きく偏芯していて幅には 5倍までの変動がある。環はすべて,直径約 1mの黒ずんだ物質でできた丸石様の物体で構成されている。この物体の成分はまだ特定されていないが,研究者たちは,岩石片と氷が黒い非晶質重合体と混ぜ合わさったものと推測している。天王星には環の構造に加え 27個の衛星がある。5個の主要な衛星,ミランダアンブリエル(ウンブリエル),アリエル(エアリエル),オベロンチタニア(ティタニア)は,472kmから 1578kmにわたる直径をもつ。
ボイジャー2号からの観測データから,天王星は地球や土星の周囲にある磁場と同程度の強さの磁場で囲まれていることが判明した。この磁場の中には地球よりも強い放射帯が捕捉されている。天王星磁場の軸は自転軸から 58.6°傾斜している(地球磁場は 11°傾斜)。天王星の磁場は太陽風によって吹き流され,長い尾となっている。磁場がとても鋭く傾斜しているため尾は大きくねじれている。その大きさと質量の関係から天王星内部は氷と気体の混合物でできており,岩石質の芯は小さいかあるいは存在しないと考えられている。天王星の大気は,連続した層をなして高度数千kmまで達していると思われる。最も内側の層は,おそらく氷結メタンの雲で構成されており,上方域ではおもに水素とヘリウムの構成物質になっている。大気中の水素とヘリウムの比率は太陽の含有比率と一致している。天王星の平均熱放射は 59.1K(→ケルビン)であり,同じ断面積の黒体の熱放射と等価である。これはいわゆる惑星の有効温度であり,約 40hPa(→ヘクトパスカル)の圧力にした大気気体の実際の温度と等しい。木星や土星と同じように,天王星には緯度の円周に平行な雲の帯があり,赤道近くの低緯度では帯状の風が逆方向へ動いている。この風の速度は地球の風の数倍もあり,緯度とともに上昇すると考えられている。

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改訂新版 世界大百科事典 「天王星」の意味・わかりやすい解説

天王星 (てんのうせい)
Uranus

基本情報
軌道半長径=19.2184天文単位 
離心率=0.0463 
軌道傾斜=0°.773 
太陽からの距離 最小=27.41×108km 平均=28.75×108km 最大=30.08×108km 
公転周期=84.075年 
平均軌道速度=6.81km/s 
会合周期=369.7日 
赤道半径=2万5400km 
体積=63(地球=1) 
質量=14.54(地球=1) 
平均密度=1.27g/cm3 
自転周期=0.718日 
赤道傾斜角=97.°88 
アルベド=0.51 
平均極大光度=+5.3等 
赤道重力=0.89(地球=1) 
脱出速度=21.29km/s

太陽系の第7惑星。1781年3月13日,F.W.ハーシェルによって発見されたが,6等より明るいためそれ以前に20回以上も恒星として観測されていることがわかった。名称はギリシア神話ウラノスに由来する。1986年1月24日,アメリカの惑星探査機ボエジャー2号がその表面から8万1000kmのところを通過して,天王星とその衛星の観測を行った。水素分子とヘリウムを主体として,厚い大気層に,メタンなど炭化水素の氷でできた白い雲が浮かんでいるが,他の木星型惑星と違って表面にはっきりした模様はない。メタンによる赤色光の吸収のため青緑色をしているが,海王星ほど青くない。有効温度は-214℃と測定されており,水素,ヘリウム,ネオン以外は液体や固体になっている。分光学的に検出されている分子は水素とメタンであるが,これらの量は木星,土星,天王星,海王星と太陽から遠ざかるにしたがって増えるようにみえる。これは大気の活動がゆるやかになって透明度がよくなり,より深いところが観測されていることを示すものであって,絶対量が多いわけではない。天王星や海王星に含まれる軽元素の比率は木星や土星の20分の1であるが,これは質量が小さいことに対応して巨大にふくれあがらずに現在の大きさを保つために必要なことである。海王星のほうがより密度が大きいことをあわせ考えると,生成時に太陽系外縁部から軽元素が失われたことと対応する。内部はより重い分子で構成されていると推定され,半径数千kmの固体中心核のまわりを,超高圧で金属状になった水やアンモニアがとりまいていると思われる。表面での磁場は0.1~1.1ガウスで磁極は自転軸と60度も傾いており,中心と半径の約1/3も離れたところを通っている。

 天王星の赤道面は軌道面に対して97.°88も傾いており,ほとんど横たおしで自転している。したがって地球から見ていると,北極が見えたり南極が見えたりするが,これは天王星の公転周期84年を周期として繰り返される。1966年と2008年は赤道が太陽を向き,1985年は北極が,2030年は南極が太陽に向く。

 天王星は,ミランダ,アリエル,ウンブリエル,チタニア,オベロンという衛星をもっているが,みな数百kmの半径をもつ比較的小さい衛星である。このほか,ボエジャー2号が発見した半径数十kmの衛星が10個ある。77年,天王星はてんびん座の8.8等星の前を横切ったが,それを測光観測した結果環の存在が知られた。環の半径は内側のもので4万1870km,外側のもので5万1180kmの距離にあって9重になっており,それぞれの幅は比較的狭い。衛星の軌道面も環の面も天王星の赤道面にほとんど一致している。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天王星」の意味・わかりやすい解説

天王星
てんのうせい
Uranus

太陽系の惑星の一つ。土星の外側を公転している。1781年W・ハーシェルによって発見された。これにより、太古より知られていた土星のさらに外側にも惑星が存在することが初めて知られた。太陽からの平均距離は19.218天文単位(28億7500万キロメートル)、公転周期は84.022年である。赤道半径は2万5400キロメートルで地球の4倍近いが、遠方にあるため衝(しょう)のころでも視直径は3.8秒、明るさも5.3等級にすぎないが、肉眼でかろうじて認めることができる。質量は地球の14.5倍で、平均密度は1立方センチメートル当り1.30グラム、赤道重力は地球の0.89倍である。天王星は自転軸がその軌道面に対して98度も傾いており、ほとんど横倒しの形で自転している。このため1公転の間に2回ずつ、太陽や地球のほうにその赤道と両極とを交互に向けることになる。極の方向が地球に向いているころはほとんど円形に見えるが、赤道を真横に見せるころにはかなり楕円(だえん)形に見え、その扁率(へんりつ)は0.03ほどである。自転の周期は、表面の模様が不鮮明なため、わずかな変光などから十数時間と推定されてきたが、1986年1月に接近観測した惑星探査機ボイジャー2号により約16.8時間と求められた。

 天王星はいわゆる木星型惑星であるが、木星・土星よりはかなり小型で、内部構造も多少異なって、岩石質の中心核、氷のマントル、おもに水素・ヘリウムの上層という3層からなっていると考えられている。表層の大気中には以前からメタンの存在が知られ、天王星が青緑色に見えるのは、スペクトルの赤色部にあるメタンの強い吸収帯のためである。なおボイジャー2号はアセチレンの存在も確かめた。

 天王星には細い環があることが、1977年におこった天王星による恒星の食(しょく)の際に発見され、その後、同様の観測で9本の細い環が確認され、ボイジャー2号がこれらを詳しく観測し、そのほかにも新しい環が存在することを確かめた。

 また天王星には、地球からの観測でアリエル、ウンブリエル、チタニア、オベロン、ミランダの5個の衛星が知られていたが、ボイジャー2号はこれらの衛星の表面地形を初めて観測した。これらの衛星の表面はいずれも厚い氷に覆われ、多くのクレーターが見られるが、なかでも3万5000キロメートルまで接近して撮影したミランダの表面には断層や擦り傷のような複雑な地形が見られた。

 またボイジャー2号は新しく10個の小衛星を発見したが、そのなかにはいわゆる羊飼い衛星として細い環のすぐ内側と外側を回っているものもあって、環をつくっている粒子がこの引力によって細い環の中に閉じ込められていることも明らかになった。なおボイジャー2号は天王星の磁極が自転の極と55度も傾いているという不思議な事実や、放射能帯、オーロラなどの存在も観測した。

[村山定男]


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百科事典マイペディア 「天王星」の意味・わかりやすい解説

天王星【てんのうせい】

太陽系の第7惑星。1781年ハーシェルが発見。太陽との平均距離28億7100万km(19.2天文単位),公転周期84.1年,最大光度5.6等。赤道半径2万5400km,体積は地球の61.6倍,質量14.7倍。自転周期0.451日で,自転軸はほとんど横倒し(公転面との角度8°)になっている。表面近くは水素やヘリウムが多く,内部はより重い分子で構成され,半径数千kmの固体中心核のまわりを超高圧で金属状になった水やアンモニアが取り巻いているらしい。表面温度−180℃以下。土星と同様な環があり,衛星はミランダ,アリエル,ウンブリエル,チタニア,オベロンのほか,1986年にボエジャー2号が発見した10個の微小衛星がある。
→関連項目ボエジャー

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知恵蔵 「天王星」の解説

天王星

土星の外側を回る第7惑星。W.ハーシェル(英)が1781年に望遠鏡で発見した。半径は地球の4倍、質量は同15倍あるガス惑星。青緑色に見えるが、大気のガスに含まれるメタンによる。他の惑星と異なり、自転軸が軌道面に対して横倒しになっている。これは、惑星形成後、大きな別の天体が衝突した結果とみられる。探査機によって環が発見され、衛星が27個確認されている。

(土佐誠 東北大学教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

占い用語集 「天王星」の解説

天王星

水瓶座の支配星。ギリシャ神話の最古の神ウラノスから命名。1781年に発見された比較的新しい天体。独創的、個性的、革新、革命の星とも呼ばれる。天王星が強く作用していると独自性に拘りすぎて変わり者になったり、孤立や反動的な行動に陥る。天王星の配置されるハウスによって、個人の人生のどの分野で独自性が育まれるのかが示される。

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世界大百科事典(旧版)内の天王星の言及

【アダムズ】より

…イギリスの天文学者。1839年ケンブリッジ大学に入学し,在学中に天王星の運動の不整(説明できない乱れ)に興味を抱いた。43年首席で卒業,特別研究員に推されるや,天王星の運動の不整は,その外側にある未知惑星の摂動によるものと考えて研究を進め,早くも45年には未知惑星の質量と軌道要素を求めた論文をケンブリッジ大学に提出し,グリニジ天文台を訪れて観測を託した。…

【ウラン】より

…日本語名のウラニウムは俗称。1789年ドイツのM.H.クラプロートがピッチブレンド(歴青ウラン鉱)中から発見し,1781年に新発見され当時有名であった惑星の名称Uranus(天王星)にちなんで命名された。単体は,1842年フランスのペリゴEugène Melchior Péligotがはじめて取り出した。…

※「天王星」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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