天生峠(読み)アモウトウゲ

デジタル大辞泉 「天生峠」の意味・読み・例文・類語

あもう‐とうげ〔あまふたうげ〕【天生峠】

岐阜県北部にある峠。標高1290メートル。峠周辺にはミズバショウなどの自生する高層湿原が点在している。白山などの眺望がよい。泉鏡花の「高野聖こうやひじり」の舞台として有名。

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日本歴史地名大系 「天生峠」の解説

天生峠
あもうとうげ

[現在地名]河合村天生

河合村より大野郡白川しらかわ村に通ずる峠で、標高一二九〇メートル。東は天生谷川、西は繊砂まなご谷の大峡谷をさかのぼるので、古来交通はきわめてまれで物資の交流も少なかった。「飛騨国中案内」に「天生より荻町村へ四里の余有之、此間皆峠にて殊の外悪敷道筋なり、歩行人さては牛足より外に、馬駕籠通り難く候」とある。明治一六年(一八八三)前後の天生村覚書(天生区有文書)によると、毎日のように多くの人夫が出て普請に当たっている。近代まで歩荷によって天生から白川へと運ばれたものは塩と薬品くらいで、その他の物資の交流はほとんどなかった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天生峠」の意味・わかりやすい解説

天生峠
あもうとうげ

岐阜県北部、大野郡白川村と飛騨市(ひだし)の境、庄(しょう)川、宮川両流域の境界山地にかかる峠。標高1290メートル。泉鏡花(きょうか)の『高野聖(こうやひじり)』には、「飛ぶ鳥も見えず」とあり、第二次世界大戦前には狭い山道が通じるだけであった。いまはこの峠を越える国道360号が通じ、白川村荻(おぎ)町と、飛騨市河合町角川(つのがわ)が結ばれている。峠の東西両斜面は急勾配(こうばい)の坂道で、冬季は積雪で通行不能。峠付近は展望に優れ、紅葉の名所でもある。また、ミズバショウなどの大湿原もあり、県立自然公園に指定されている。

[上島正徳]

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