精選版 日本国語大辞典 「天雲の」の意味・読み・例文・類語
あまぐも‐の【天雲の】
枕 (古くは「あまくもの」)
① 雲が、ゆくえ定めず空を漂うところから、「たどきも知らず」「たゆたふ」「ゆくらゆくら」「浮く」などにかかる。
※万葉(8C後)一七・三八九八「大船の上にし居れば安麻久毛乃(アマクモノ)たどきも知らず歌乞我が背」
② 雲が、空のはるか遠いところにあるというところから、「奥処(おくか)も知らず」「はるか」「上(うわ)」などにかかる。
※万葉(8C後)一二・三〇三〇「思ひ出てすべなき時は天雲之奥処(おくか)も知らず恋ひつつそ居る」
③ 雲が、ちぎれて離れ離れになるところから、「別れ」「外(よそ)」などにかかる。
※万葉(8C後)九・一八〇四「天雲乃 別れし行けば 闇夜なす 思ひ迷(まと)はひ」
④ 雲が、空を飛んで去ってしまうところから、「行く」「晴る」にかかり、また飛び去っても再び戻って来るように見えるところから、「行き還(かへ)り」などにかかる。
※万葉(8C後)一九・四二四二「天雲乃行き還(がへ)りなむ物故に思ひそ吾がする別れ悲しみ」
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