太平洋問題調査会(読み)タイヘイヨウモンダイチョウサカイ(英語表記)Institute of Pacific Relations

デジタル大辞泉 「太平洋問題調査会」の意味・読み・例文・類語

たいへいようもんだい‐ちょうさかい〔タイヘイヤウモンダイテウサクワイ〕【太平洋問題調査会】

Institute of Pacific Relations太平洋周辺諸国の相互理解を深めるために、種々の調査研究を行った民間の国際的協力機関。1925年に設立日本も参加したが、実質的活動は60年まで。IPR

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精選版 日本国語大辞典 「太平洋問題調査会」の意味・読み・例文・類語

たいへいようもんだい‐ちょうさかい ‥ヤウモンダイテウサクヮイ【太平洋問題調査会】

(Institute of Pacific Relations の訳語) 太平洋諸国家間の親善を深めるための種々の調査研究を行なう国際的協力機関。一九二五年に設立され一九五〇年から日本も参加したが、六〇年に解散した。

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改訂新版 世界大百科事典 「太平洋問題調査会」の意味・わかりやすい解説

太平洋問題調査会 (たいへいようもんだいちょうさかい)
Institute of Pacific Relations

太平洋地域に利害関係を有する諸国家・諸民族の相互理解と正確な情報交換を目的とした国際的な調査団体。略称IPR。YMCAの活動に端を発し,1925年のホノルル会議をもって発足,61年まで存続した。日本,中国朝鮮,アメリカ,イギリスカナダオーストラリア等の民間有識者によって組織された。本部はホノルルに置かれ,のちにニューヨークへ移った。活動の内容は定期的に国際会議を開催して,各国の代表者による討論を行うこと,および太平洋関係諸問題に関する学術的調査研究であった。日本支部の創立は1926年,日米関係に強い関心を抱く財界有力者や自由主義的知識人の支持と参加を得て設立され,井上準之助新渡戸稲造が理事長を務めた。日本の中国侵略とそれに伴うアメリカ,イギリスとの緊張激化により,国内の活動は衰え,38年以後は事実上同会を脱退するにいたり,第2次大戦後1950年に復帰した。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太平洋問題調査会」の意味・わかりやすい解説

太平洋問題調査会
たいへいようもんだいちょうさかい
Institute of Pacific Relations; IPR

アジア,太平洋地域に関する政治経済社会問題などの科学的研究の促進,専門家の相互交流を目的とする国際的な民間の調査研究団体。 1925年設立。一般に自由主義的傾向が強く,季刊機関誌"Pacific Affairs"を刊行。 50年代にはこれら地域に利害関係をもつアメリカ,イギリス,フランス,カナダ,日本,インド,オーストラリア,フィリピンなどのほかソ連,中国も参加したことがある。各国ごとの調査会と国際事務局 (最初ホノルル,のちニューヨークに所在) で構成され,ほぼ隔年に国際会議を開いた (全 13回,1954年には京都で開催) 。 51~52年にかけマッカーシー旋風により最大組織であるアメリカ調査会が大打撃を受けたのを契機に,60年解散した。"Pacific Affairs"はカナダのブリティシュコロンビア大学に引継がれて発行されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「太平洋問題調査会」の意味・わかりやすい解説

太平洋問題調査会
たいへいようもんだいちょうさかい
Institute of Pacific Relations

略称IPR。1925年ホノルルでの民間研究機関・学者の国際会議で設立された民間研究討論機関。アメリカを中心に太平洋の14か国(イギリス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、フランス、オランダ、インド、ソ連、フィリピン、日本、中国、後のインドネシアとパキスタン)で構成、ただしソ連は戦後、中国は中国革命後は不参加。第二次世界大戦終了まではその研究業績・政策立案は参加諸国の政策に寄与したが(ことに連合国の対日占領政策などで)、そのため戦後反動期にIPR関係者はマッカーシズムの攻撃を受け、その醵金(きょきん)者も減り、IPRの活動そのものも衰退したが、いまも存続し、機関誌『パシフィック・アフェアーズ』(季刊)は出ている。

[陸井三郎]

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百科事典マイペディア 「太平洋問題調査会」の意味・わかりやすい解説

太平洋問題調査会【たいへいようもんだいちょうさかい】

太平洋地域の政治・経済・社会問題の調査および地域諸国民の相互理解を図るための民間の国際研究団体。1925年設立。中国をめぐる日米間の対立調整が中心課題だった。第2次大戦後マッカーシイズムの余波を受け1960年解散。日・米など12ヵ国が加盟していた。

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