夫な・兄な(読み)せな

精選版 日本国語大辞典 「夫な・兄な」の意味・読み・例文・類語

せ‐な【夫な・兄な】

〘名〙 (「な」は接尾語)
① 女性が、夫・恋人である男性または兄弟など、広く男性を親しんでいう語。せなな。せなの。せこ。
書紀(720)崇神一〇年七月(北野本訓)「倭迹々姫命夫(セナ)に語て曰せり」
万葉(8C後)二〇・四四一六「草枕旅行く世奈(セナ)が丸寝せば家(いは)なる吾は紐解かず寝む」
② 夫婦の仲をいう。〔名語記(1275)〕
後世、特に、兄をさしていう。
※談義本・当世穴穿(1769‐71)四「いきているせなや舎弟にむつましくして」
④ 若い男。若い衆。また、愛人である男。
※雑俳・柳多留‐七(1772)「から馬で今年も帰る下女がせな」
[語誌]上代の「せ」が兄弟や夫を含めて広く身近の男性を指したところから、「せな」の意味用法も同じひろがりを示している。上代の東国方言だったらしく、類義語「せろ」とともに「万葉集」の用例は東歌と防人歌に集中している。

せな‐な【夫な・兄な】

〘名〙 (「な」は接尾語) =せな(夫━)
※万葉(8C後)一四・三五四四「あすか川下濁れるを知らずして勢奈那(セナナ)二人さ寝て悔しも」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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