奈良三作(読み)ナラサンサク

デジタル大辞泉 「奈良三作」の意味・読み・例文・類語

なら‐さんさく【奈良三作】

奈良派で、最も有名な三人金工奈良利寿ならとしなが土屋安親つちややすちか杉浦乗意すぎうらじょうい

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の奈良三作の言及

【杉浦乗意】より

…作品の特徴は彼が創始した肉合彫(ししあいぼり)による文様の表現にあるが,これは下地に文様とする部分の輪郭を一段彫り下げ,文様自体を薄肉彫にしたもので,文様が下地より高くならないという技法である。この技によって当時一世を風靡(ふうび)し,土屋安親(つちややすちか),奈良利寿(ならとしなが)とともに奈良三作と称され,高く評価された。作品は小柄(こづか)がほとんどで,鐔(つば)は2点にすぎない。…

【装剣金具】より

…銅3,銀1の合金),素銅(すあか)といった多種の金属を併用し,従前の高肉彫や象嵌のほか,肉合彫(ししあいぼり),片切彫(かたきりぼり)といった新技法が工夫されたのもその一例である。町彫を代表する江戸金工には横谷派,奈良派,石黒派,浜野派などがおり,横谷(よこや)宗珉は片切彫を創始し,横構図が普通であった小柄に縦構図を取り入れるなどの新境地をみせ,奈良派では奈良利寿(としなが),土屋安親杉浦乗意が〈奈良三作〉といわれ,利寿は大胆な構図と力強い彫り,安親は鐔の形と意匠の調和,乗意は肉合彫を創始して,それぞれ新生面を開いた。京都では一宮(いちのみや)長常(1722‐86。…

【土屋安親】より

…通称を弥五八といい,初め同郷の正阿弥珍久に学び,1703年(元禄16)江戸に出,奈良辰政に入門した。その作は古来奈良利寿杉浦乗意とともに奈良三作と称され,賞美された。奈良三作のうちでは最も多くの作品を残しており,鐔(つば),小柄(こづか),縁頭(ふちがしら),目貫(めぬき)と種類も多く(刀装),形の工夫,地金の扱いに秀でている。…

【鐔∥鍔】より

…横谷宗珉は後藤家流の技法を汲む家に生まれながらその作風にあきたらず,構図に新生面を築いたほか,片切彫を創始し,以後の工人に大きな影響を与えた。また奈良三作の土屋安親,奈良利寿(としなが),杉浦乗意も斬新な意匠と独自の彫技をみせている。安親は鐔の形,意匠に,利寿は雄渾な高肉象嵌・色絵に,また鐔の作は少ないものの乗意は肉合彫の創始者として名工の名をほしいままにした。…

【奈良利寿】より

…通称を太兵衛といい,奈良利治の門人とも奈良利永の門人とも伝える。土屋安親杉浦乗意とならんで,奈良三作の一人に数えられる名工。刀装具の中でも縁頭(ふちがしら)の製作に長じ,鐔(つば)は比較的少ない。…

※「奈良三作」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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