奈良屋道汐(読み)ならや・どうせき

朝日日本歴史人物事典 「奈良屋道汐」の解説

奈良屋道汐

没年:寛永7.4.28(1630.6.8)
生年:生年不詳
江戸前期の堺の豪商奈良屋一忠,勝兵衛といった。慶長初期ポルトガル船が長崎に来航した際,戦乱のため生糸などの処分ができず困っていたので,徳川家康の仲介で堺の有力町人,頭人クラスの10人が伏見に招かれ,家康より生糸の買入方を依頼され,京都,長崎の有力町人の協力を得て生糸などすべてを買い取って帰航させた。堺は中世以来,貿易や商業が盛んで富裕な町人が多かったが,その頭人クラス10人中のひとり。河野氏一統で10人中ほかの高石屋,伊予屋,奈良屋も一族で,堺の町の中心的人物。その結果,慶長9(1604)年の糸割符制度の設立に際し,堺の糸割符年寄に任命され,初期堺の町方の指導的役割を担った。墓は堺の法華寺。<参考文献>中田易直校訂『糸乱記』,『堺市史』5,7巻

(中田易直)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「奈良屋道汐」の解説

奈良屋道汐 ならや-どうせき

?-? 江戸時代前期の商人
中国産の生糸を輸入するため慶長9年(1604)幕府の命により糸割符(いとわつぷ)仲間の制度創設にあたった堺の豪商のひとり。のち年寄になったが,家業衰退で仲間からはずされた。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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