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明治期の自由民権家、社会主義者。「おくみや」「けんの」「たけゆき」とも読まれている。安政(あんせい)4年11月12日、土佐国(高知県)土佐郡布師田(ぬのしだ)村に、藩主山内容堂(やまうちようどう)の侍講、陽明学者の奥宮正由(まさよし)(号慥斎(ぞうさい))の三男として生まれる。長兄正治(まさはる)は後の宮城控訴院検事長である。健之はベンサムの思想に傾倒して民権家となり、自由党に入党した。馬場辰猪(ばばたつい)らの国友社に加わり政談演説会で活躍。とくに、貧しい労働者の同情者として、1882年(明治15)人力車夫の三浦亀吉らと東京・神田で車夫懇親会を結成、「車会党規則」を発表した。同年官吏職務妨害罪で重禁錮4か月20日、罰金7円を科せられる。84年名古屋事件で無期徒刑。特赦により97年に出獄後1906年(明治39)には労働党を組織したが、幸徳秋水らの平民社と関係し、大逆事件に連座。明治44年1月24日死刑に処せられた。著書に『共和政体論』がある。
[松尾章一]
『絲屋寿雄著『自由民権の先駆者』(1981・大月書店)』
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(山泉進)
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…1882年に結成された人力車夫の結社。自由党左派の奥宮健之,桜田百衛らは無産大衆の組織化を計画し,鉄道馬車の創業(1882年6月)によって打撃をうけていた人力車夫の結集に着手した。彼らは自由党員と懇意な車夫の親方三浦亀吉に相談し,10月4日神田明神の境内に車夫300余人を集めて懇親会を開催,席上三浦は〈車夫と雖ども亦皆同等の人間なり〉と訴え,天賦人権思想と団結の必要性を説いた。…
…彼は高知県で演説禁止処分を受けたため,1882年1月,遊芸稼人の鑑札を受け馬鹿林鈍翁を名乗り一座の興行をはじめた。不敬罪により罰せられ,わずか2日間で幕を閉じたが,後に東京で奥宮健之,奥宮健吉,竜野周一郎らが同じ試みを受け継ぐ。演ずる題目は〈フランス革命史〉〈経国美談〉〈東洋民権百家伝〉など。…
※「奥宮健之」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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