女孺(読み)じょじゅ

精選版 日本国語大辞典 「女孺」の意味・読み・例文・類語

じょ‐じゅ ヂョ‥【女孺】

〘名〙 召使い小女。こまづかい。にょじゅ。

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改訂新版 世界大百科事典 「女孺」の意味・わかりやすい解説

女孺 (にょじゅ)

日本の後宮における下級宮人。〈めのわらわ〉〈にょうじゅ〉ともいう。史料上の初見は《日本書紀》舒明天皇即位前紀。律令制下においては後宮十二司の末端機構として置かれ,内侍司に100人,蔵司に10人,書司に6人,掃司に10人が配置された。これらの諸司に配されなかった女孺はすべて縫司に配された。《延喜式》には縫司100人,中宮90人,縫殿寮70人とある。女孺には諸氏から貢進される氏女(うじめ)や地方豪族より貢進される采女(うねめ)をもってあてることとなっていた。彼女たちは後宮のさまざまな雑務に従事した。ときには勅を受けて宣伝(命令の下達)のことを行ったこともあり,踏歌歌頭をつとめた例もある。彼女たちの中には後に後宮十二司の上級官職につく者や,五位以上に昇るものもあった。孝謙上皇の側近として,また和気清麻呂の姉として有名な和気広虫も,女孺出身で従四位,典侍にまで昇進した宮人であった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「女孺」の意味・わかりやすい解説

女孺
にょうじゅ

「にょじゅ」とも読む。御所内雑事を司る女官。令制では内侍司以下後宮の8司に 152人をおいた。のちには中宮職,縫殿寮 (ぬいどののつかさ) ,掃部 (かもん) 寮内教坊にも配せられた。

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世界大百科事典(旧版)内の女孺の言及

【氏女】より

…日本古代の畿内貴族が,後宮の下級の女官である女孺(によじゆ)にあてるため貢進した女性。大化前代に,地方豪族である国造(くにのみやつこ)が,采女(うねめ)を朝廷に貢進する慣習があり,これが律令制にひきつがれ,郡司が姉妹子女を采女として貢進する制度として成立した。…

【供御人】より

…各官司は年預(ねんよ)を通じて供御人を支配し,供御人集団は番に編成されて番頭がおかれている場合もあるが,全体の統轄者は惣官・沙汰者といわれた。灯炉供御人の年預が蔵人所小舎人(こどねり)だったように,年預は下級官人が世襲し,惣官は下級の官位を持つ武士的な人々が多いが,精進御薗供御人の惣官は下級の女官,女孺(によじゆ)であり,ときに女性がなる場合もありえた。供御人も粟津橋本供御人が女商人,唐粉(からこ)供御人が閉女(とじめ)といわれたように,女性を含むことが少なくないが,それ自体武装した非農業民集団であった。…

【後宮】より

…また律令支配機構に参加した女性を宮人(くうにん)と総称したが,中心は十二女司に勤務する女性らで,諸司が名に負う職掌で天皇に奉仕したが,天皇の家政機関的な性格が濃く,官位相当規定はない。諸司の掌(しよう)以上が〈職事〉,以下の女孺(によじゆ),采女(うねめ)らを〈散事〉とよぶが,男性官人に準ずる給禄の准位規定(表)があり,蔵司の筆頭である尚蔵以下の地歩が推定できる。そこでは蔵司を最高に,膳・縫司がこれに次ぎ,天皇に常侍して奏請・宣伝する内侍司(ないしのつかさ)は,その次に位置したが,しだいに内侍司の地歩が上昇し,蔵司と肩を並べるに至った。…

※「女孺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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