やっこ‐だこ【奴凧】
[1] 〘名〙
① 凧の一つ。奴が筒袖を着て、
左右に両手を広げた形の
たこ。やっこいか。やっこ。《季・春》
※滑稽本・古朽木(1780)五「
出家は変じて蛸となり、鳶は変じて奴凧
(ヤッコダコ)と成た先格もござる」
② 人のおだてや中傷にのりやすい者。
※人情本・春秋二季種(1844‐61頃)二「『誰にかしゃくられたな』『よしてもお呉れ、そんな奴凧ぢゃアないヨ』」
[2]
[一] (奴凧・奴師労之) 江戸後期の
随筆。一冊。蜀山人(大田南畝)著。文政四年(
一八二一)成立。全六二則。主として、
明和~
寛政(
一七六四‐一八〇一)頃の江戸市井の見聞雑記で、名所・遊所のことから
狂歌を中心とする当時の文学状況や
文人の
消息まで率直に書き綴っている。凧を「師労之」と書くのは「
和名抄」から借用した文字。
[二] (奴凧)
歌舞伎所作事。常磐津。三段。河竹黙阿彌作詞。岸沢古式部作曲。初世花柳寿輔振付。本名題「
奴凧廓春風(やっこだこさとのはるかぜ)」。明治二六年(
一八九三)
東京歌舞伎座初演。
上巻は
大磯の郭での
曾我物の所作事。中巻に奴凧が宙乗りになり、
下界を見下ろしての踊りがある。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報
デジタル大辞泉
「奴凧」の意味・読み・例文・類語
やっこ‐だこ【▽奴×凧】
凧の一。奴2が両袖を左右に突っ張った姿に作ったもの。《季 春》
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出典 日外アソシエーツ「歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典」歌舞伎・浄瑠璃外題よみかた辞典について 情報