好所(読み)いいところ

精選版 日本国語大辞典 「好所」の意味・読み・例文・類語

いい【好】 所(ところ)

① 身分、家柄、経済状態などのよい家。特に、金持ちの家。
※人情本・春色雪の梅(1838‐42頃か)初「相手は富家(イイトコ)の若旦那(むすこ)ださうだ」
② あるものの中で、よい部分。
(イ) ましな部分。満足できる程度。
※歌舞伎・佐野常世誉免状(鉢の木)(1858)上「三度の食は粟か稗、いいところで麦がせいぎり」
(ロ) 特に賞味すべき部分。味わいどころ。
※安愚楽鍋(1871‐72)〈仮名垣魯文〉二「生でたべるのだから精肉(イイトコ)をうす切にして」
(ハ) 好ましい部分。また、長所
※今年竹(1919‐27)〈里見弴秋雨の宵「芸者にそれほど思ひ込まれるといふのは、きっと男としてどこかいいところがあるんだ」
③ 都合のよい時。適切な頃合
※歌舞伎・吉様参由縁音信(小堀政談)(1869)五幕「地獄にも知る人だ、いい所で手前に逢った」
④ (「…もいい所」の形で、多く否定的な事柄を強調していう) …という批評もまだ好意のある方で、本当のところはもっとひどいものだの意を表わす。全く…である。まさに…である。
他人の顔(1964)〈安部公房〉白いノート「醜いあひるの子の物語は、かならず白鳥の歌でしめくくられるものと相場がきまっているらしい。御都合主義もいいところである」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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