如何なり(読み)イカナリ

デジタル大辞泉 「如何なり」の意味・読み・例文・類語

いか‐な・り【如何なり】

[動ラ変]《「いかにあり」から》
どのようだ。どんなだ。
「かかる人々のすゑずゑ―・りけむ」〈末摘花
どういうわけだ。どうしてだ。
女君も―・るらむとおぼす」〈落窪・一〉
反語の意を表す。どうなることか、いや、どうにもならない。
「今日だに云ひがたし。まして後には―・らん」〈土佐
[補説]「いか」を語幹とする形容動詞とする説もある。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「如何なり」の意味・読み・例文・類語

いか‐な・り【如何なり】

〘自ラ変〙 (「いか(如何)」を語幹とするナリ活用の形容動詞と考えることもできる) →いかないかにいかなる
物事の状態、様子、作用などへの疑問を表わす。どんなだ。どうしたことだ。どういうことだ。どうなることだ。
万葉(8C後)一四・三五三六「赤駒を打ちてさ緒引き心びき伊可奈流(イカナル)背なか吾許(わがり)来むといふ」
源氏(1001‐14頃)末摘花「かかる人々のすゑずゑいかなりけむ」
② 物事の原因、理由、方法などへの疑問を表わす。どういうわけだ。どうした理由からだ。
※後撰(951‐953頃)恋四・八六九「かかり火にあらぬおもひのいかなれば涙の河にうきてもゆらん〈よみ人しらず〉」
③ 反語の意を表わす。どんなであるか、どうにもならない。だめだ。
※土左(935頃)承平五年一月一八日「まねべども、えまねばず。かけりともえよみすて難かるべし。今日だに云ひ難し。まして後にはいかならん」
④ 物事の程度、状態がはなはだしいさまを強調していう。
(イ) (後に推量表現を伴って) どんなに…(だろう)。
※落窪(10C後)一「いといみじき事かな。いかなるののしりいで来んとすらむ」
(ロ) (後に逆接の語を伴って) はなはだしく逆接的な前提条件であることを表わす。どんなに…(でも)。いくら…(でも)。
※落窪(10C後)四「いかなる人なりとも、只今の時の大臣ばかりの、御娘の様にての給ひあはせ給はんを、おろかには思はじ」
⑤ 不定のさまをあらわす。間接話法性質が強い。どうこうだ。
※万葉(8C後)一一・二四六六「朝茅原小野に標(しめ)結ふ空(むな)事を何在(いかなり)といひて君をし待たむ」
⑥ どうかと思われるさま。考えものだ。よくない。
太平記(14C後)一四「こは如何(イカ)なる世の中ぞやとて、安き意も無りけり」
⑦ (「いかならん」の形で) その事物でさえあればどのようなものでもかまわないという気持を表わす。どんな…(でも)。
※室町殿日記(1602頃)六「いかならん家へもありつかばやとおもひて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android