妙高(市)(読み)みょうこう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「妙高(市)」の意味・わかりやすい解説

妙高(市)
みょうこう

新潟県南西部にある市。2005年(平成17)、新井市(あらいし)は、中頸城郡(なかくびきぐん)妙高高原町(みょうこうこうげんまち)、妙高村を編入し、同市は妙高市に名称変更。市名は南西部にそびえる妙高山による。市域の南西部は妙高山麓の高原地帯、西部は妙高山の北に連なる頸城連山、南東部は新潟・長野県境を走る関田(せきだ)山脈山地で、これら山間地を縫って関川(せきかわ)が北流する。同川西方を支流の矢代川(やしろがわ)が流れ、市域北端部に沖積平野(高田(たかだ)平野)が開ける。中央部を並行してえちごトキめき鉄道(旧、JR信越本線)、国道18号、上信越自動車道が、東部を国道292号が縦断し、上信越自動車道の妙高高原インターチェンジがある。市域東端を南北に北陸新幹線が通るが市内に駅はなく、隣の上越市に上越妙高駅がある。なお市域中央部には上越(じょうえつ)市(旧、中郷(なかごう)村地区)が入り込んでいる。

 関、矢代両川に臨む丘陵、台地上に縄文期の遺跡が多く分布する。弥生時代末期の斐太遺跡(ひだいせき)(国指定史跡)は東日本最大級の高地性環壕集落。古墳は観音平(かんのんだいら)・天神堂(てんじんどう)古墳群(国指定史跡)など、後期の群集墳が多い。関、矢代両川に挟まれる栗原(くりはら)の地は、古く信濃国と越後国を結ぶ交通の要地で、奈良時代前期の蓮華文軒丸瓦、墨書銘須恵器などが出土し、頸城郡衙跡と推定される。南北朝期以降、市域は越後国守護上杉氏が領し、鮫ヶ尾(さめがお)城、松原(まつばら)館、乙吉(おとよし)館などが築かれた。これら城館は戦国期には守護代長尾氏が踏襲し、信越国境の備えとされた。江戸時代、関川沿いに通る北国街道(ほっこくかいどう)は、佐渡の金の運搬路、北陸諸大名の参勤交代路、また信越を結ぶ重要な物資輸送路であり、関山(せきやま)、新井はその宿場町。とくに新井宿は飯山(いいやま)道への分岐点にあたり、物資の集散所として栄えた。北国街道、飯山道や、その間道に沿い、かつ信越国境に位置する関川村には関所が、長沢(ながさわ)村、小沢(こざわ)村、上平丸(かみひらまる)村には口留番所が置かれている。妙高山は古くから信仰の対象で、その信仰の中心となった関山神社の7月の例祭は、関山の火祭とよばれ著名。北部域は昭和10年代に大日本セルロイド(現、ダイセル)新井工場が誘致されてから、化学工業都市として発展、電気、精密機械などの工業団地も造成されている。南部域は妙高戸隠連山国立公園の指定域で、妙高、池ノ平(いけのたいら)、赤倉(あかくら)、関、燕(つばめ)などの温泉があり、春秋のハイキング、夏の登山、冬のスキーと、四季を通じて観光客が多い。斑尾(まだらお)山の北麓にあたる斑尾高原(一部は長野県)もリゾート地として観光開発が進んでいる。面積445.63平方キロメートル、人口3万0383(2020)。

[編集部]


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