婆娑(読み)バサ

デジタル大辞泉 「婆娑」の意味・読み・例文・類語

ばさ【婆×娑】

[ト・タル][文][形動タリ]
舞う人の衣の袖がひるがえるさま。
「得意の事得意の人に遇えば―として起舞し」〈岡倉天心狩野芳崖
物の影などが揺れ動くさま。
破芭蕉やればしょうの大きな影が、―として斜に映っている」〈芥川戯作三昧
[補説]「婆娑」は当て字

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「婆娑」の意味・読み・例文・類語

ばさ【婆娑】

〘形動タリ〙
① 舞う人の衣服の袖が美しくひるがえるさま。また、舞いめぐるさま。
※本朝文粋(1060頃)一三・村上天皇供養雲林院塔願文〈大江維時〉「垂柳婆娑態、難腰」
※随感録(1905)〈綱島梁川〉「偽の我、仮装の我、膚寸の我と婆娑(バサ)して喜べりしが」 〔詩経‐陳風・東門之枌〕
② さまよいめぐるさま。徘徊(はいかい)するさま。
※菅家文草(900頃)二・重依行字、和裴大使被之什「灌漑梁園墨客婆裟孔肆是査郎」 〔班固‐答賓戯〕
③ 影などが乱れ動くさま。
※大東世語(1750)四「見館前有一大樹、婆娑遮上レ月」
浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉一「涼風一陣吹到る毎に〈略〉夕顔影法師が婆娑(バサ)として舞ひ出し」 〔図絵宝鑑‐二〕
④ 物の散り乱れるさま。
※三体詩素隠抄(1622)一「言はもとどりを、中を一ところ結(ゆふ)て、上をば、ばさとしてをいて」
⑤ 竹の葉などに雨や風があたってがさがさと音がするさま。
※俳諧・蕪村句集(1784)冬「古傘の婆娑と月夜の時雨哉」
⑥ 琴などの曲調に変化が多いさま。〔嵆康‐琴賦〕

ばしゃ・る【婆娑】

〘自ラ下二〙 派手で、しまりがなくなる。だらしなくなる。軽薄になる。
※茶屋諸分調方記(1693)九「もったいらしく出る。ばしゃれていづる」

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普及版 字通 「婆娑」の読み・字形・画数・意味

【婆娑】ばさ

舞うさま。また、すべてしどけないようなさまに用いる。〔詩、陳風、東門之枌〕東門の枌(にれ) 宛丘の栩(くぬぎ) 子仲の子 其の下(もと)に婆娑す

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