(読み)こび

精選版 日本国語大辞典 「媚」の意味・読み・例文・類語

こび【媚】

〘名〙 (動詞「こびる(媚)」の連用形名詞化)
① 人の顔色をうかがって、気に入るようにふるまうこと。こびること。へつらうこと。
※法華経釈文平安中期点(976頃)上「眉 武悲反 説文云目上毛也 慈恩云面首の媚(コヒ)なり」
太平記(14C後)二一「三家台輔も奉行頭人の前に媚(コビ)を成し」
② 女の美しく色っぽいこと。なまめくこと。いろめくこと。
平家(13C前)二「この后一たびゑめば百の媚ありけり」

こ・びる【媚】

〘自バ上一〙 こ・ぶ 〘自バ上二〙 他人に気に入られるような態度をとる。へつらう。特に、女性が男性の気をひこうとしてなまめかしくふるまうことをいう。
※霊異記(810‐824)上「其の女壮(をとこ)に媚(コ)び馴(なつ)き、壮睇(めかりう)つ〈興福寺本訓釈 媚 古比〉」
[補注]中世から近世初頭にかけて、この「媚びる」と並んで、古びる意の「こびる」があり、この二語は、同源である可能性があるが、ヘボンの「改正増補和英語林集成」では、媚びへつらう意味の「媚ビル」と、老成した意味の「古ビル」を別見出しにしている。

こば・む【媚】

〘自マ四〙 こびる。おもねる。追従する。〔安田本和玉篇(15C後)〕
仮名草子可笑記(1642)四「町人に対し小いんぎんなるあひしらひ、是れ皆へつらひこばむといひつべし」

こ・ぶ【媚】

〘自バ上二〙 ⇒こびる(媚)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「媚」の意味・読み・例文・類語

び【媚】[漢字項目]

[音]ビ(漢) [訓]こびる
なまめかしくする。色っぽい。「媚態媚薬
こびへつらう。「佞媚ねいび
あでやかで美しい。「風光明媚

こび【×媚】

人に取り入って、機嫌をとろうとすること。へつらうこと。
女が男に対して色気を示すこと。「を含んだ声」

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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