嫌婚派(読み)けんこんは

知恵蔵 「嫌婚派」の解説

嫌婚派

単に「結婚しない」のでも「結婚できない」のでもなく、「結婚したくない」「結婚するつもりがない」という人を指す。
国立社会保障・人口問題研究所が2015年に実施した出生動向基本調査の独身者調査(18~34歳)では、結婚の意思を問われて「いずれ結婚するつもり」と答えた人は圧倒的に多いものの、「一生結婚するつもりはない」と答える割合は増加傾向にあり、男性は12.0%、女性は8.0%と、調査を開始した1982年以降で最多だった。
若者が結婚しない主要な理由は経済的な理由が占めるが、経済的な理由に限らず結婚したがらない人が、ここ30年ぐらいで増えているという。社会学者の水無田気流は、「都市部に住み、仕事を持ち、経済的に困窮していない。一般的には家庭を運営する能力があるのに結婚したがらない人」を「嫌婚派」と名付け、その特徴を分析している。それによると結婚したくない理由のトップは「結婚生活よりも趣味を優先したい」で、恋愛に対しても「わずらわしい」と答える人が多かったという。
嫌婚派は女性よりも男性に多くみられ、嫌婚派の男性は「嫌婚男子」などと呼ばれることもある。結婚のデメリットを大きいと考えたり、離婚リスクを重視したりして、結婚したくないと考える若者の姿は、非婚化が進む中で多様な調査によって浮き彫りにされており、雑誌テレビ特集が組まれたり、ドラマ役柄で登場したりするなど、現代の若者の一つの特徴とみられている。

(原田英美 ライター/2017年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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