嫡母(読み)ちゃくぼ

精選版 日本国語大辞典 「嫡母」の意味・読み・例文・類語

ちゃく‐ぼ【嫡母】

〘名〙 正妻と認められている母親。父の嫡妻。特に民法旧規定庶子が父の正妻をいったもの。てきぼ。
令義解(718)儀制「凡五等親者。〈略〉祖父母。嫡母。継母。〈略〉子婦為二等」 〔南史‐劉霊哲伝〕

てき‐ぼ【嫡母】

〘名〙 (「てき」は「嫡」の漢音) 父の正妻。父の嫡妻。ちゃくぼ。

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デジタル大辞泉 「嫡母」の意味・読み・例文・類語

ちゃく‐ぼ【嫡母】

父の正妻。正妻以外の女性から生まれた子からみた言い方。てきぼ。
[類語]義母継母けいぼまま母養母しゅうと・しゅうとめ

てき‐ぼ【嫡母】

ちゃくぼ(嫡母)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「嫡母」の意味・わかりやすい解説

嫡母
ちゃくぼ

明治民法の下で、父が正妻以外の女性との間に生まれた子(女の私生子)を認知すると、その子は父の庶子となり、その子は原則として父の家に入ったが、その場合、その庶子に対し、父の正妻を嫡母とよんだ。明治民法施行前の慣例によったものであり、嫡母庶子間には法律上の親子母子)関係が認められた。一種の継母子関係であるが、普通の継母子関係以上に、人間性、家族感情を無視した、もっぱら家の存続を願う家族制度に基づくものであった。1948年(昭和23)の民法改正とともに、このような法定親子関係は認められなくなり、現在では単なる姻族一親等の関係にすぎない。

[山本正憲]

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世界大百科事典(旧版)内の嫡母の言及

【親族名称】より

…宗族は秩序の体系を持っており,人々はその中で一定の地位を占め,そのことから身分関係や国家の法との関係を規制され,各人は親族名称,すなわち〈名〉に応じた行動規準を持たねばならない。全体は図4を参考に供するとして,たとえば〈はは〉についてみると,生みの母を〈親母〉,めかけの子は父の正妻を呼んで〈嫡母〉,前妻の子は後妻を呼んで〈継母〉,めかけの子がその生みの母を失い,他のめかけが養育するとそのめかけを〈慈母〉,養子は養い親の妻を〈養母〉,離婚された親母を〈出母〉,寡婦たる親母で他人に嫁いだものを〈嫁母〉,父のめかけで子あるものを他の子は〈庶母〉,父のめかけで己に乳を与えたものを〈乳母〉という。親母を除いてこれらを〈八母〉というが,それぞれに礼制上,服喪の期間などが細かく段階的に定められていることはもちろん,律の上でも一定の扱いがある。…

※「嫡母」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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