子宮がん検診

六訂版 家庭医学大全科 「子宮がん検診」の解説

子宮がん検診
(女性の病気と妊娠・出産)

 がんも初期の段階で治療すれば大部分が治癒します。しかし、初期のがんでは自覚症状がほとんどありません。そのため早期発見を目的としてがん検診が行われます。

 子宮(けい)がんは、簡単で負担の少ない診察・検査により早期発見が可能です。そのうえ検診により早期発見・治療することで子宮頸がんによる死亡率が低下しており、検診の有効性が認められています。

 子宮頸がん検診では、問診、視診、細胞診、内診を行います。問診では、年齢、妊娠分娩歴、月経の状態、不正出血の有無などを聴取します。視診では腟鏡を挿入して子宮頸部肉眼で直接観察します。次に子宮頸部から細胞を採取します。綿棒・ブラシ・ヘラなどを用いて子宮頸部をこすり、こすったものをスライドグラスに塗ります。このとき少し出血することがありますが、痛みはほとんどありません。

 採取された細胞は固定・染色され、のちほど細胞検査士と細胞診指導医が判定します。細胞採取に引き続いて内診を行い、子宮の位置・大きさ、圧痛・癒着(ゆちゃく)の有無、左右の卵巣卵管腫大の有無を調べます。

 細胞診で異常が疑われた場合は二次検診(精密検診)が必要です。二次検診では、細胞診の再検コルポスコピー腟拡大鏡検査)、ねらい組織検査、子宮頸管粘膜搔爬(そうは)などを行って診断を確定します。

 子宮体がん検診は、最近6カ月以内に不正出血のある人のなかで、①年齢50歳以上、②閉経以後、または③未妊婦で月経不規則のいずれかの条件にあたる人を対象とします。

 子宮内膜細胞診は、子宮腟部を消毒したのちに、細い細胞採取器具を子宮の内腔に挿入して子宮内膜細胞を採取します。採取する時に軽い痛みと出血があります。子宮内膜細胞診は子宮体がんの検出方法として非常に有効な方法です。しかし、子宮穿孔(せんこう)や子宮内感染を起こす可能性がわずかにあるため、対象を絞って行います。

 有効な検診方法であってもすべてのがんを検出できるわけではありません。検診後にも不正性器出血などの症状があれば、あらためて婦人科を受診してください。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

家庭医学館 「子宮がん検診」の解説

しきゅうがんけんしん【子宮がん検診】

 一般的な子宮がん検診では、子宮頸部細胞診(しきゅうけいぶさいぼうしん)による子宮頸がん検診と内診(ないしん)を行ないます。
 子宮頸部細胞診では、子宮腟部(しきゅうちつぶ)と子宮頸管から綿棒ややわらかいヘラで細胞をこすりとり、固定染色して顕微鏡で観察します。若いときは、子宮頸がんや異形成は、頸部の表面の腟部にできますが、高齢になると、奥のほうの頸管にできやすくなります。
 内診では、おなかにあてた手と腟内に挿入した指で、性器をはさみこんで診察し、子宮や卵巣(らんそう)の大きさ・かたさ・動きやすさを調べます。
 このほかに、コルポスコープ(子宮頸部拡大鏡)で子宮頸部を観察したり、超音波で子宮や卵巣の状態を検査することもあります。
 子宮体(しきゅうたい)がん検診では、子宮内腔(しきゅうないくう)に細長い器具を挿入して、内膜(ないまく)細胞を吸いとったり、こすりとって調べる細胞診が行なわれます。
 子宮体がん検診は、不正性器出血があった人や、月経異常のある人、子宮体がんになりやすい体質の人(子宮体がん(「子宮体がん」))を対象にして行なわれることが多い検診です。
 子宮頸がん検診でも子宮体がん検診でも、がんだけでなく、前がん病変を発見することを目的としており、前がん病変のうちにみつけて経過観察することにより、がんになる前や初期がんの段階で手当ができるわけです。

出典 小学館家庭医学館について 情報

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