存在論的証明（読み）そんざいろんてきしょうめい（英語表記）argumentum ontologicum

精選版 日本国語大辞典

そんざいろんてき‐しょうめい【存在論的証明】

〘名〙 神の存在を証明する論法の一つ。一一世紀のカンタベリー大司教アンセルムスに始まる。神は最も完全なものである、ところで我々が考えただけであるより、そのものが実際に存在することのほうが、より完全である、ゆえに神は存在する、というもの。本体論的証明。

出典　精選版 日本国語大辞典

デジタル大辞泉

そんざいろんてき‐しょうめい【存在論的証明】

神の存在証明の一。神は最も完全なものである、その完全性には存在も含まれていなければならない、故に神は存在する、とするもの。アンセルムスが最初に行った。本体論的証明。

出典　小学館

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

存在論的証明
そんざいろんてきしょうめい
argumentum ontologicum

本体論的証明ともいう。神の存在の証明法の一つ。このうえなく大なる存在という神の観念を考えると，神は概念的に存在するだけでなく実在しなければならない。そうでなければ概念的存在よりも実在のほうがより大なる存在であるから，当の観念に矛盾することになるというもの。アンセルムスが提出し，デカルトも独自の立場から同様の証明を提出した。アンセルムスに対してはトマス・アクィナスが批判し，デカルトは『省察』に対する第一の駁論への答弁でこのトマスの批判を論じている。カントもこの証明法を批判している。

出典　ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典